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YouTube広告在庫の質と量をいかに担保するか―Momentum、ADK、KOSEが実証実験[インタビュー]

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ブランディング動画広告と言えば YouTubeだが、そこにはブランド毀損のリスクが存在する。この課題を解決すべく、YouTubeの優良チャンネル群を揃えたMomentum社と総合広告会社のADK社が化粧品大手のコーセーとともにセーフリスト配信の実証実験を実施。動画広告の質と量の担保について両社に話を聞いた。(Sponsored by Momentum)

 

広告会社独自のアドベリ対策とは

 

―自己紹介をお願いします。

 

佐藤氏:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズのアドテク本部に所属する佐藤有希と申します。総合広告会社である当社とプラットフォーム各社との連携を図る部署にて、アドベリフィケーションを推進するチームの一員として活動しています。

 

伊藤氏:同じくADKの伊藤美波です。広告主様向けにデジタルメディアの買い付けやプランニングを行う部署で、化粧品大手であるコーセー様の担当を務めています。

 

柳谷氏:Momentum株式会社の柳谷俊輔です。当社は日本語に特化したアドベリフィケーションの専業ベンダーとしては草分けであり、2014年より事業を開始しました。ウェブ広告のブロックサイトのリストや、動画広告配信先のセーフリスト、Pre-Bid(入札前ブロック)、Post-Bid(入札後ブロック)機能などを提供しています。

 

 

―「アドベリフィケーション」という用語を耳にする機会が過去数年間で急激に増えた一方で、外資企業と日本企業またはブランド広告主とそれ以外の広告主ではいまだ意識に開きがあると言われています。

 

佐藤氏:当社の顧客にはいわゆるナショナルクライアント様が多く、ブランドセーフティは常に重要課題です。当社ではかなり早い段階から独自にブロックリストまたはセーフリストの整備などを通じてアドベリフィケ―ション対策を行ってきました。ただし、広告主様の個別のご要望に応じて各担当者がそれぞれの対策を用意していたので、その担当者の知見や時間的資源によってそれらブロックリストやセーフリストの質や量に大きな違いがあったというのも事実です。

 

すべてのお客様に対して一律に提供し得る基準を満たした組織的なアドベリフィケーション対策を整備する必要性を以前から痛感していました。

 

伊藤氏:私が担当するコーセー様は、新商品の発売時にブランド認知を目的としたテレビCMや動画広告を出稿することが多く、とりわけブランドセーフティを重視されています。また同社様にはブランドごとの広告担当者様とは別にデジタルマーケティングを横断的に管理する専任者様がいらっしゃり、デジタル出稿におけるブランド毀損のリスクを十分に把握された上で、そのリスクをできる限り少なくしたいとのご要望を示されています。

 

そこで当社ではこれまで人気上位のチャンネルへの広告配信を予約できるYouTube Select(旧Google Preferred)などを活用してきました。

 

YouTube広告の利点と課題

 

―ディスプレイ広告と動画広告でアドベリフィケーション対策が異なるのでしょうか。

柳谷氏:ディスプレイ広告におけるアドベリフィケーションでは、これまでタグを用いて配信前に広告をブロックするPre-Bid(入札前ブロック)が一般的に活用されてきました。一方のPost-Bid(入札後ブロック)では第三者配信を用いなければならないのですが、日本市場ではこの第三者配信が浸透していない。そこで当社では自らが第三者配信機能を持つことで、Pre-BidとPost -Bidの双方を装備しました。

 

さらに接続先のDSPやアドネットワークから収集したデータに基づくブロックリストをリアルタイムで更新した上でダッシュボード表示する「HYTRA DASHBOARD」を広告会社様向けに提供しています。

 

動画広告については、昨今のコロナ禍による外出自粛の傾向を受けて、YouTubeへの出稿が増えています。そうであるにも関わらず、YouTube上にはいわゆるヘイト、アダルト、グロテクスク、炎上系といった問題ある動画が少なからず存在するというのが課題です。そこでこうした動画コンテンツ上に広告が配信されるリスクを減らすために、当社では機械判定と人的チェックからなるHYTRA DASHBOARD Channel Safe Listというプロダクトを提供しています。

 

佐藤氏:日本最大級の動画配信サービスであるYouTubeは、多くの人にリーチできる貴重なメディアです。動画広告をYouTubeに配信する広告主様は非常に多く、インストリーム広告となると事実上ほぼすべてYouTubeへの出稿というのが現状です。一方でユーザー生成コンテンツ(UGC)が多いために、どうしても広告主様によっては一部不適切と判断される動画が含まれてしまう。ただし、広告会社の担当者がYouTube上のチャンネルすべてを目視で確認していくというのは事実上不可能です。

 

柳谷氏:HYTRA DASHBOARD Channel Safe Listは、Momentum社が提供するブランドリスクのないYouTubeのチャンネル群です。伊藤様が先ほど言及していたYouTube Selectは素晴らしい仕組みだと思いますが、CPMが高く、またGoogle独自のスコアによって恣意的にチャンネルが選ばれるので、外部からはなぜ特定のチャンネルがリストに含まれ、そして含まれないかが分かりにくいという課題があります。

 

そこで当社では、海外のパートナー企業から提供されたデータを活用しつつ、YouTubeの動画内容を機械に加えて人間の目視による確認を行い、膨大な優良チャンネルを取り揃えたリストとしてご提供しています。

 

HYTRA DASHBOARD Channel Safe List概要

実証実験の結果はいかに

 

―Momentum社のHYTRA DASHBOARD Channel Safe Listを用いた実証実験の概要とその結果についてお聞かせください。

 

伊藤氏:コーセー様が提供するヴィセというブランドのアイカラーの魅力を伝える動画広告を、HYTRA DASHBOARD Channel Safe Listを適用したものとそうでないものとに分けてYouTube上に配信し、その結果を比較検証しました。この動画クリエイティブは雑誌社様とのタイアップ企画としてタレントを起用した大掛かりなもので、15秒と90秒の2種類を用意しています。

 

 

 

佐藤氏:当社としては、優良チャンネルのみへの配信では「リーチ数の減少」及び「CPMの高騰」が多少なりとも起こり得ると想定していたのですが、その影響はありませんでした。配信面は6分の1に減少したにも関わらず、リーチ数はほぼ変わらず。しかもCPMが12%安くなりました。つまり配信効率を落とさずに、ブランドセーフティを担保したYouTube広告配信ができたと言えます。

 

 

―HYTRA DASHBOARD Channel Safe Listを適用したものとそうでないものでは前者の方が当然ながら配信面が少ないにも関わらず、配信効率が下がらなかったのはなぜですか。

 

佐藤氏:ターゲティングやフリークエンシーキャップの設定によって配信効率への影響は変わり得るとは思いますが、少なくとも今回の実証実験においては、一定の規模感で用意された優良チャンネルの広告在庫で配信数をまかなうことができたということでしょう。

 

広告会社の各担当者が個別にHYTRA DASHBOARD Channel Safe List同様の規模のリストを用意するのは正直難しい。また担当者の確認時には優良チャンネルであったとしても、その後炎上コンテンツを配信するようになるという事態はあり得ます。Momentum社が定期的に各チャンネルのコンテンツを確認し、そのリスト内容を更新しているという点を高く評価しています。

 

柳谷:現在のHYTRA DASHBOARD Channel Safe Listの規模感であれば、一般的なデジタル広告の動画キャンペーンの配信に十分に対応できると考えています。月間の広告予算が1億円以上の規模となると影響が出るかもしれませんが、ターゲティングが可能なYouTube広告でそれほどの配信規模を必要とするのは非常に稀でしょう。

 

―HYTRA DASHBOARD Channel Safe Listを適用することで、具体的にはどのような配信面への広告配信が減ったのでしょうか。

 

佐藤氏:リストが適用されていない方には、海外チャンネルで広告表示が1回のみというものがたくさんありました。海外チャンネル自体に問題があるわけではないのですが、言語や背景となる文化について理解できなければ、ブランドセーフティを担保できる配信面であるか否かを判断することさえできません。またリストを適用した方では、YouTubeの公式チャンネルまたは公式アーティスト チャンネルへの配信が増えました。

 

伊藤氏:また広告配信後に受け取るレポートでは、GoogleがNGと判断してその後使用不可になったチャンネルが報告されます。HYTRA DASHBOARD Channel Safe Listを適用していない方には、使用不可となったチャンネルが配信数の上位に出てしまうが、リストを導入した場合は少なくとも上位には見られないという違いもありました。

 

―CPMが安くなったのはなぜですか。

 

柳谷氏:これについては想定外の良い結果であり、さらなる検証が必要です。ただし「ブランドセーフティを担保するためには、CPMの負担増を余儀なくされる」という一般的な傾向をくつがえした特徴的な事例であると考えております。

 

―「ブランドリフトへの影響」についてはどのように効果測定を行ったのでしょうか。

伊藤氏:動画広告を閲覧した消費者に対して、認知率、興味関心、好意度、購入意向、ブランドイメージについてのアンケートを実施しました。結果として、リストの適用による興味関心や購入意向について大きな差はありませんでした。興味関心や購入意向の違いを生むのは配信先ではなく、動画クリエイティブの内容であるというのが当社の見解です。一方で、リストを適用した配信では、ブランドに対するイメージとして「信頼できる」「共感できる」というスコアが伸びました。

 

―今後の取り組みについてお聞かせください。

 

柳谷氏:まずはHYTRA DASHBOARD Channel Safe Listのチャンネル数をより精査した上で拡張等をしていきたいと思います。また今後は既に開始しているものもありますが、Instagramやアプリ面と言った、オープンウェブやYouTube以外のサービスについてもサービスのカバー範囲を広げる予定です。

 

佐藤氏:ブランドセーフティを担保したブロックリストまたはセーフリストを用意するために、広告会社の担当者はこれまで各々で大変な手間暇をかけてきました。ADKとしては、Momentum社を始めとする各プラットフォーム等との連携を通じて、今後は組織的な取り組みを進めることで、ブランドセーフティの実現を図っていきたいと思います。

 

伊藤氏:今回の一番の発見は、当初はブランド毀損リスクを減らすために導入した本施策が、結果的に「広告投資効率を上げる」取り組みに繋がったことです。今後のコーセー様へのご提案の中でも、引き続きブランドセーフティを意識したプロモーションが出来ればと思います。

 

コーセー担当者のコメント

コーセーでは、化粧品という特性上、広告の投資効率の向上は勿論、広告活動においては、常にブランディングやブランドセーフティを重要視して取り組んでいます。その中でこれまでも、動画広告においてもアドベリ対策について取り組みを行ってきました。広告配信の中で実際にブランド毀損に繋がるインプレッションは全体の数パーセントかもしれません。ただ、1回でも数人だとしても不快な広告印象をユーザーに提供してしまうリスクを極限まで少なくする努力はするべきと考えて日頃より取り組んでいます。今回、検証頂いた結果もふまえ、外部パートナーの協力を頂きながら、更なるブランドセーフティの強化を進めていきたいと思います。

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「全国展開で圧倒的リーチを目指す」―デジタルガレージが美容サロン特化サイネージでDOOH進出[インタビュー]

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これまでインターネット広告の運用を始めとするデジタルマーケティング支援等を手がけてきたデジタルガレージがデジタルサイネージ広告(DOOH)市場に進出した。主戦場とするのは美容サロン。「サキザキテルコ」という独特の名前を冠したサイネージ広告商品が生まれるまでの経緯などについて聞いた。(聞き手:ExchangeWire Japan長野雅俊)

 

端末開発企業と美容商社との提携で実現

 

―自己紹介をお願いします。

デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー パフォーマンスマーケティング本部 OOH推進部 部長の諸石真吾と申します。マーケティングテクノロジーカンパニーではマーケティング支援事業を展開するとともに、新規市場の開拓及び事業の多角化を目的として、DOOHという成長市場への参入について検討を重ねてきました。

 

今年8月より、全国の美容サロンの顧客を対象に動画コンテンツと広告を配信するデジタルサイネージメディア「サキザキテルコ」の提供を開始しています。当社と、IoTデバイス開発企業の株式会社ピースリー、そして美容総合卸売商社の株式会社ダリアとが業務提携を締結することでこの取り組みが実現しました。

 

―サイネージ端末の特徴をお聞かせください。

 

着座確認による効果測定機能を搭載しています。美容サロンはお客様が立ったり座ったりを繰り返すので、着座を判定してから動画を再生することが現実的ではありません。そのため本端末は、着座関係なく動画を再生し続けますが、着座した状態と空席を判断します。つまりビューアブル再生をレポートできる、美容サロンに最適化した端末です。

 

また、複雑な操作を必要としない仕様であることも特徴です。美容サロンに特化したデジタルサイネージメディア事業を展開する上で、圧倒的なリーチを確保したいという考えがあります。スピード感を持って全国的に配布できる仕様であり、かつ効果測定機能を搭載した本端末を、業務提携を結んだピースリー社が美容サロン専用に開発しています。

 

―どのような美容サロンを対象としているのでしょうか。

 

本メディアの特徴は長尺の動画配信なので、女性の平均滞在時間が90分で、一つのセット面に一日当たり4人以上が訪れるような美容サロンを対象にしています。言い換えると、サイネージ端末一台を通じて月間100人にリーチできるような美容サロンです。このような条件を備えた美容サロンを、美容専門商社のダリア社と協議しながら選定しています。ファーストステップとして2021年3月までに全国約3,000店に18,000台を設置する予定です。

 

長尺の動画広告視聴に最適な環境

 

―どのような広告主層を取り込みたいと考えていますか。

 

美容意識が高まる環境で視聴することを考えると、やはり相性が良い美容系の商品です。そして美容サロンを訪れるお客様の割合から、主に女性向けの商品を取り扱う広告主様に、美容サロンの環境だからこそ可能なプロモーションを提案しています。

 

一般的には、いわゆるスキッパブルな動画広告であれば、数秒の短い視聴時間を確保することさえ難しいとされています。しかし、美容サロンの施術中に過ごす時間であれば、30秒〜90秒の長尺動画でもじっくりと観てもらえる可能性があります。そのため、興味関心・理解促進を目的としたアプローチに最適であると考えています。

 

当社が実施した調査では、動画を視聴した71%のお客様が、「動画の内容が美容師との会話につながった」と回答しました。受動的に動画広告を受け取るだけでなく、会話をすることで広告効果が更に高まると考えています。この環境を活かし、今後、美容サロンでのサンプリングや商品を実際にその場で試してもらうなど、美容師とのコミュニケーションが生まれるサービスの拡充も進めていく予定です。

 

―コロナ禍の影響はどのように受け止めていますか。

 

緊急事態宣言を受けて不要不急の外出自粛が求められた4、5月は売上が落ち込んだ美容サロンもあると聞いていますが、適切な感染対策を行った結果、6月に入ってから前年同月比で売上が150%増となった店舗もあるようです。

 

感染対策の一環で、雑誌や電子書籍閲覧用タブレットを撤去する店舗がありますが、サキザキテルコは端末への接触を必要とせずに動画をご覧いただけるため、コロナ禍でもお客様が楽しめるツールとして、また美容師とのコミュニケーションツールとしても活用することが可能です。様々なニューノーマルへの対応が必要とされているなか、デジタルサイネージメディアとして最適なサービスを展開していきます。

 

ステークホルダーが多い業界への配慮

 

―「サキザキテルコ」というキャラクター名を冠しているのはなぜですか。

 

美容サロンを訪れるお客様と動画広告の間にここちよい距離感を保つという発想からです。電車や屋外などとは異なり、現時点ではまだデジタルサイネージの設置が進んでいない美容サロンという空間に広告媒体を持ち込む上で、特別な配慮が必要と考えました。

 

そこで、デジタルサイネージメディアのキャラクター「サキザキテルコ」を作り上げました。キャラクターの性格や好みを配信コンテンツに反映させることで、単純に動画コンテンツや動画広告を配信するメディアではなく、パーソナリティを持つデジタルサイネージメディアとして認知されることを目指しています。キャラクターの「サキザキテルコ」が独自の目線でユーザーからの質問に答えるお悩み相談室、占いなどのオリジナルコンテンツも毎月新作を配信しています。

 

その他の配信コンテンツとして、「サキザキテルコ」のパーソナリティに合致する各メディアにお声がけをし、動画コンテンツを提供いただいています。お客様の豊かなライフスタイルを後押しするという想いを込めて、「みんな、ここちよく、自分らしく。」をコンセプトに、美容、ファッション、食、ライフスタイル、エンタメなど幅広いジャンルを配信しています。

 

―「デジタルサイネージ端末に対して広告を配信する」以外にも様々な準備が必要とされるのですね。

 

仰る通り、今後も様々な取り組みが必要です。お客様や美容サロンに必要とされる、新しいデジタルサイネージメディアとしてサービスを提供すべく、さらなるアップデートを進めていきます。

 

※美容サロンを利用した10代~60代の方200人へのアンケート調査(2020年6~7月実施)

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Facebook Audience Network、その仕組みと取り組みを聞く[インタビュー]

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Facebook社の広告ビジネスというと、FacebookやInstagramが話題の中心となりがちであるが、同社はFacebook Audience Networkという、グローバルでも最大規模のアプリメディア向け広告ネットワークを構築・運営する事業者としての側面も持つ。とりわけアプリ領域で広告ビジネスを行う世界中の業界関係者から、常にその動向は注目されている。

同社でFacebook Audience Networkの日本事業を統括する只隈茂朗氏に、これまでの日本における取り組みや、現在業界で話題となっている動向への取り組みなどについて、お話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

 

-日本市場におけるFacebook Audience Networkのこれまでのビジネス拡大と展開についてお聞かせください。

 Facebook Audience Networkは、広告主の価値を高め、質の高いサービスによって利用者のエンゲージメントを確保することで、パブリッシャーや開発者のビジネス拡大をサポートしてきました。Facebook Audience Network をご利用いただくことで、パブリッシャーはアプリ内でFacebookの広告を表示してマネタイズすることが可能となります。広告主は、FacebookやInstagram 以外の数千に及ぶ高いクオリティの外部アプリに広告を配信することが可能となります。

Facebook Audience Networkは2014年からサービスの提供を開始しております。2016年1月にはSupership社とSSPとしての取り組みを開始させていたき、日本のアプリメディアにも幅広くご利用になっていただいております。その後2016年10月に日本語対応が可能なチームを発足し、以降パブリッシャーと直接やりとりをさせていただいております。

Facebook Audience Networkは現在では全世界で約19,000社以上のパブリッシャーにご利用いただいており、2019年にパブリッシャーにお支払いさせていただいた広告収益は数十億ドルを超える規模になっております。我々Facebook Audience Networkのアジアチームはシンガポールを拠点とし、シンガポールから日本のパブリッシャーをサポートさせていただいております。

 

 

-2020年4月にウェブ向けサービスを終了したが、その理由や経緯についてお聞かせください。

この決定は、モバイルアプリの他のフォーマットでの需要が高まっているために行われました。一方で現在は、当社のモバイルアプリネットワークをオークション制に移行することに、引き続き注力していいます。

 

 

Facebook Audience Network は、バイサイドに対してBidding Platform を提供しているのでしょうか?

いえ、提供しておりません。しかしパブリッシャーの自社サーバー経由か、当社の規約(code of conduct)に同意いただいたメディエーションパートナー様経由で、Facebook Audience Networkをビディング形式でご利用いただくことが可能です。2020年9月時点で、以下のメディエーションパートナーを経由してご利用いただくことができます。

 

Google Ad Manager、Google AdMob、MAX by AppLovin、Fyber、ironSource、MoPub、Tapdaq、Chartboost

 

また自社メディエーションシステムをご利用のパブリッシャー様もFacebook Audience Network をビッダーとしてご利用いただくことが可能です。

 

 

-AppleによるiOS 14以降でのIDFA利用制限について、に対して、どのように取り組んでいかれるのでしょうか?

Facebook社では、Appleのポリシーの詳細が確定するのを、同業他社と同様に引き続き待ち受けているところです。現時点では、IDFAの利用に利用者の許可を必要とする機能の実装が延期されたことを踏まえ、Facebook Audience Network をご利用いただいている皆さまの事業への影響を極力抑えるため、iOS 14デバイス用のアプリにおいてもIDFAの収集を継続しています。Appleからのさらなるガイダンスに応じて状況をアップデートさせていただく予定です。

Facebook社では今後も、Facebook Audience Network での広告マネタイズをご利用いただいている数千ものデベロッパーやパブリッシャーの皆さまへのサポートに全力を尽くし、パブリッシャー向けの収益化プロダクトの構築に時間とリソースを投資していきます。

 

 

-ブランドセーフティーに対する取り組みについて、お聞かせください。

広告主やパブリッシャーは、人々を惹きつけ、魅了し、喜ばせる体験を構築するために努力されていると思います。そのため、広告配信とマネタイズに関しては、ブランドセーフティをとても重要視しています。

ブランドセーフな広告の収益化は、多くのパブリッシャーにとって重要です。Facebook Audience Network では、様々な広告の品質管理機能と広告レビューを組み合わせることで、Facebook Audience Network を通じた収益化を最大化しながら、パブリッシャーが望む高品質でブランドセーフな体験を得ることができるように支援したいと考えています。

Facebook Audience Network からパブリッシャーのアプリに広告が配信される前に、複数段階のレビュープロセスがあり、広告がFacebook社の広告ポリシーに沿っているかどうか、コミュニティ基準に準拠しているかどうかを確認します。このプロセスでは、機械学習と人間によるレビューを組み合わせて、広告がFacebook社のポリシーとコミュニティ基準に準拠しているかどうかを確認します。

広告が公開されると、人々やパブリッシャーからのシグナルを使い悪い広告を特定します。Facebook社の広告ポリシーに加えて、ブランドの安全性に対するニーズは、業界、地域、その他のビジネスの好みによって、各パブリッシャーに固有のものであると思います。そのため、パブリッシャーがアプリ上での広告配信を独自の基準に合わせてさらにカスタマイズできるように、多くのツールを構築しています。例えば、ブロックリストを使用することで、パブリッシャーは特定のアプリ、ドメイン、カテゴリの広告が自社アプリに表示されないようにブロックすることができます。

 

 

-現在拠点をシンガポールに置かれていますが、リモートで日本のパブリッシャーとの関係性をどのようにうまく構築しているのでしょうか?工夫されていることについてお聞かせください。

シンガポールにセントライズすることで多くのメリットがあるのですが、パブリッシャーには、ご不便をおかけする場合があるかもしれません。少しでもご不便を軽減するため、Messengerやメールなどを使って距離を感じさせないサポートを心がけています。

シンガポールにチームをセントライズすることで、中国や韓国などのAPACの別市場からの情報を横断的に集約し、日本のパブリッシャーコミュニティがマネタイズされる際に役立つ情報やベストプラクティスを提供させていただくことが可能になっています。

これらはシンガポールにチームをセントライズすることで可能となる一例にすぎませんが、これからも更なるメリットをパブリッシャーに提供させていただくために努めてまいります。

 

 

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デジタルで創るライブエンターテイメントの新しい価値[インタビュー]

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CyberZは、デジタルライブエンターテインメントの市場調査を実施し、先日2024年までの市場規模予測を公表した

調査結果では、2024年におよそ1000億円規模に達すると予測している。調査結果とその背景について、同社代表取締役社長 山内 隆裕氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下智之)

 

 

デジタルライブエンタメ市場は予想を遥かに超える勢いで急拡大

 

 

 

―今回デジタルライブエンターテインメント市場の調査を実施された背景と、調査結果のご解説をお願いいたします

調査を元々したかったのはコロナがあったからではありません。ネットでのエンターテインメントがどのくらいあるのかと常々考えておりました。リアルでのライブエンターテインメントは、時間の制約があります。子育てをしている方だと一番忙しいタイミングと重なってしまったりします。海外に居住している方も、見ることができません。ライブ主催者側も、ライブをやりたくても会場が取れないということがあります。色々とある中で、オンラインでどのようにやったらいいのかということを、ずっと思っていました。

そのようなときに新型コロナウイルスの感染拡大が起こりました。アーティストの方も稼ぐ手段がなくて困ってしまったということを聞くことも多くなりました。

そこで、この産業自体がどのような構造になっているのかが知りたいと思うに至りました。

市場は予想を遥かに超える勢いで、急拡大すると見込まれております。コロナウイルス感染拡大の影響により、業界の皆さまの経営の先行きが不透明な中で、アーティストの方は厳しい環境下で岐路に立たされていることを感じております。

オンラインでライブビジネスをどのように成功させるかという方法はまだ確立されておらず、試行錯誤しながらもいい形ができるようになるといことなのかなと、市場調査を経て感じたことです。

 

―貴社が、この領域が拡大すると予期されたのはいつ頃でしょうか。また、どのようなことがきっかけでしょうか?

アプリとかスマホの可処分時間が長くなり、テレビをそれほど見なくなって、エンターテインメントに触れることに対して、ユーザーは敷居が低くなっているのではないかと感じていました。いいコンテンツであれば、PPVモデルであっても伸びているということがあるなかで、PPVモデルでたくさんのコンテンツを提供しているネットのサービスはあまりないということを皆で思っていました。

もともとはABEMAやSUPERLIVE by OPENRECで自社がこれまで保有していた価値をコンテンツをPPVモデルで提供をすることができないのかと考えておりました。

その後コロナウイルスの感染拡大により、このPPV機能をデジタルライブエンターテインメントで使えないかというお問い合わせが相次ぐようになりました。ちょうど今年の3月から4月頃にかけてのことです。

 

 

代替手段から、デジタルならではの新しい価値創りへ

―アーティスト、ライブ主催者は、ライブのデジタル配信について、現状どのようなスタンスなのでしょうか?

事務所様の方針がそれぞれあると思います。今回の予期せぬ事態への一時的な代替策として使うというスタンスのアーティストさんもいらっしゃれば、デジタルならではのバーチャルな空間に最適化させていこうというスタンスのアーティストさんもいらっしゃるかと思います。

 

―デジタル化をするにあたりアーティスト、ライブ主催者はどのような課題を持っていますか?

盛り上げ方がわからないという点が挙げられるのではないでしょうか。

ライブならではの迫力が伝わりにくいなどにより、結果としてブランド価値を既存しかねないという課題を感じている方もいらっしゃるかと思います。

一方でこれをチャンスととらえ、デジタル上でクオリティーの高いライブをすることに取り組み始めている方もいらっしゃり、例えばLDHさんのライブオンラインの活動は、ある種デジタル上で新しいブランドを作ってしまおうというような動きがとても早く、素晴らしいクオリティーです。

デジタルで提供する場合、チケットは通常と比べると低く設定されるケースが多いですが、多くのユーザーを動員することでビジネスとしても大成功を収めたケースも出てきつつあります。

デジタル上で完結してしまうと、参加者にとってはリアルなライブと比べると、思い出が残りにくくなります。ですのでその代わりに、オンライン上で参加者とアーティストが一緒に打ち上げが出来たり、先着や抽選でリアルイベントのチケットを贈呈するなど、何か特典を付けるような仕組みを、ネットビジネスっぽく作っていくのもいいのではないかと考えています。

 

―ユーザーはデジタルライブをどのような端末で視聴するケースが多いのでしょうか?

大画面で観たい方が多いでしょう。ですがスマホで見ている方もいらっしゃいます。例えば、オンタイムではテレビで観て、その後アーカイブをスマホで繰り返し見るというような、ネットならではの視聴も可能です。

アーカイブ配信については、残すか残さないか、あるいはどのくらいの期間残すかなどは、アーティスト、主催者によってさまざまです。

 

 

幅広いアーティストにゼロリスクでデジタルならではのライブ収益機会を提供

―ライブアーティストや主催者は、デジタルに何を最も期待していると思われますか?

まずは収益の部分でしょうが、その他にはデジタルらしさです。デジタルにすることで、ネットを通して会場に足を運ぶことがなかなかできない方にも広がっていくことで、新たなファンの拡大にもつながります。

一方で、表現者としてもデジタルに対する期待値は高まっているでしょう。まだまだスタンダードがないので、アーティストの皆様それぞれが試行錯誤をしながらデジタルならではの新しい表現方法に取り組んでいます。

 

―貴社、サイバーエージェントグループとして、どのような取り組みができるとお考えでしょうか?またそれに向けてこの数ヶ月間でどのような取り組みをされてきたのでしょうか?

当社ではSUPERLIVE by OPENREC、サイバーエージェントグループとしては、ABEMAと、デジタルライブ配信が可能な二つのいうサービスがあります。

ABEMAは、トップアーティストの方を中心に使っていただき、SUPERLIVE by OPENRECは、トップアーティストの方にも使っていただいていますが、ライブハウスなどで活動しているアーティストで、今ライブをする場所を確保することが出来ずに困っている方にも使っていただけるようなソリューションを提供しています。

スタジオを無料でご提供したり、オンラインライブチケット購入者向けのクジ引き機能をご提供するなどの取り組みをしています。

市場調査の結果にもありましたが、デジタルライブはトップアーティスト層から普及し始めていますが、今一番困っているのは中小規模のライブハウスを運営されているような方々です。SUPERLIVE by OPENRECでは、このような方々に対して、デジタルサービスを提供する方向で拡大をしていきたいと考えております。例えば、全国のライブハウスと提携をして、そこをアーティストの方にデジタルライブ配信の収録で使っていただくというようなことも視野に入れております。今は機材も比較的安くレンタルすることもできます。

アーティストの皆様にノーリスクでデジタルライブ配信をしていただけるような環境を整備していきたいと考えております。また、デジタルならではのライブビジネスの仕組みも提供していきたいと考えています。アーティストグッズの販売の仕方も、ネットならではの方法があります。

例えばネットくじもそうですし、ライブ開催の前にグッズが参加者のもとに届くようにしておいて、当日そのグッズを身に着けて楽しんでいただくようにする。このようにするとグッズの販売も伸びていくでしょう。

また、SUPERLIVE by OPENRECではエールと呼んでいるような、各アーティストに対するオンラインギフト(投げ銭)機能もあります。これもデジタルでは主流になりつつある新しい収益化手段です。

 

 

チケット販売手法の確立で広告業界への波及も?!

―広告業界、あるいは広告会社の視点からは、この市場の成長はなんらかの関連性はありますでしょうか?

関連性はあります。今はまだ出てきていないですが、今後チケットの販売プロモーションの手法が確立されてくれば、デジタル広告への需要は伸びてくるかもしれません。リスティング広告やファン層が多くいるTwitter、Instagramなどでプロモーション需要が伸びていくことになるでしょう。一方で、デジタルライブそのものに企業がスポンサードするなど、デジタルライブの場が広告として提供されることもまた、今後は増えてくるでしょう。

 

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「学びの本質は広告では伝わらない」-京都芸術大学のコンテンツにかける想いと、コンテンツの価値を可視化するTRENDEMON[インタビュー]

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コロナ禍でリアルなイベントの開催自粛が続く中、オンラインコミュニケーションの必要性が高まっている。特に大きな変化を余儀なくされているのが教育業界だ。広告運用とは大きく異なるオウンドメディアの意義と効果分析のあり方について、京都芸術大学の広報担当者とコンテンツアトリビューション解析ツールを提供するTRENDEMONに話を聞いた。(Sponsored by TRENDEMON JAPAN

 

教育に今必要なのはコンテンツ

 

―自己紹介をお願いします。

 

作山氏:京都芸術大学で通学課程と通信教育課程の広報・PRを担当する作山と申します。以前は両課程の学生募集を担当しており、とりわけ通信教育課程では新規学科や教育コンテンツの開発を合わせて手掛けていました。この春から現職となり、マーケティングファネルで言えばより上流の業務に携わっています。

 

嶋添氏:TRENDEMON JAPAN(トレンデーモン・ジャパン)の営業・マーケティング統括の嶋添と申します。当社は主にオウンドメディアを運営する企業様向けの分析ツールを提供しており、日本法人を立ち上げて2年目。今年6月から京都芸術大学様との取り組みをスタートさせて頂いているのですが、これまで私個人としても、国内の50社以上の大手企業様のオウンドメディアを計測、分析サポートしてきた中で教育業界でのご利用が実は初めてのことだったということもあり、お話するまでは具体的なツールのご利用イメージがクリアに湧いていませんでした。

 

しかし、こうしたコロナの状況下において、これまで当たり前のようにあったオープンキャンパスや、展覧会、学園祭などのイベント、そして授業といった大学のコアな部分が揺らいでいる、教育業界こそが「コンテンツ」を今最も必要としているのだと作山様とお話をしていく中で強く感じ取ることができました。

 

―大学機関ではどのようなマーケティング施策を実施しているのでしょうか。

 

作山氏:まず本学の場合、大前提として「通学課程」と「通信課程」ではターゲット層が大きく異なります。前者は高校生であり、後者は主に社会人です。

 

「通学課程」を希望する高校生の大半は今やほぼ例外なくオープンキャンパスに参加する時代です。高校の進路指導でオープンキャンパスへの参加を積極的に働きかけていることもあり、どの大学でもオープンキャンパスを年に何度も開催していたのですが、コロナ禍でこれがすべてできなくなりました。このように今まで学生に対してオフライン上でナーチャリング施策として実施していたコミュニケーションをいかに今後大学としてデジタル上で転換していけるかが急速に求められています。

 

一方の「通信教育課程」への入学希望者は幅広い年代層で、キャリアチェンジを考えている社会人の方から、定年後のご年配層の方まで多種多様です。コロナ禍以前から、本課程の特性上WEB上でのコミュニケーションを重視してきたこともあり、様々なCRMツールを導入した上で、メール配信やオウンドメディアの個別最適化にも先んじて取り組んでいました。

 

―広告施策についてはいかがですか。

 

これまで年間を通して大きな予算を特にWEB広告に対して投じていました。ただ、WEB広告は打てば打つほど「ユーザーから嫌われる」という印象はぬぐい切れません。

 

運用型広告には「効率の良い広告クリエイティブが自動的に選ばれる」という特徴がありますが、逆に言えば「今ならお買い得」「豪華プレゼントを提供」といった表層的な内容ばかりが高く評価されやすいのではないでしょうか。このような仕組みの中では、広告を通じて“学びの本質”を伝えることなど到底できない。だからこそオウンドメディアを最大限に活用しながらコンテンツコミュニケーションを強化していきたいと思っています。

 

嶋添氏:おっしゃる通り大きな括りとして、マーケティングという観点からみるとWEB広告の大部分が顧客を“刈り取る”ことばかりに目が行きがちです。車や保険サービスと同じく検討商材である教育サービスは特にカスタマージャーニー自体が長く、刈り取りを目的としたコミュニケーションだけでは、入学検討者や学生さん達の気持ちに寄り添うことは到底難しく、“ロングエンゲージメント”を積み上げていくことはできません。だからこそオウンドメディアなどを通じたコンテンツを起点にした長期的なマーケティング施策が求められるということを痛感しています。

 

「数値化」できないことはやらない

 

―京都芸術大学がTRENDEMONを導入するまでの経緯についてお聞かせください。

 

作山氏:本学がマーケティング施策を実施する上で重視していることが3点あります。

 

  1. 「計測検証できないことはしない 」
  2. 「“Fail fast”-どんどん失敗する」
  3. 「なんでもかんでも自分が実行しようとしない」

 

1.については、施策ごとにKPIを設けて、その達成ぶりを数値的に評価できることが重要です。各施策の良し悪しを感覚だけで捉えたところで何の役にも立ちません。

 

2.は、大きなホームランを狙うのではなく、仮説を立てた上で小さく失敗を繰り返し、学習の機会を得るという意味です。

 

3.は主に自動化機能の活用です。例えば広告やCRMにおけるターゲティングやタイミングの調整などのように、自動化できることは機械に任せ、人間は人間にしかできないクリエイティブ領域に集中すべきだと考えます。

 

コンテンツマーケティング関連では様々なサービスが提供されていますが、その中でもTRENDEMONはこれら3つの観点を満たしているツールであると判断しました。オウンドメディア上に公開された各コンテンツをジャーニー上で数値的に評価し、またその評価を踏まえ、レコメンデーションのPDCAを回すという一連の作業が自動化されているからです。

 

―オウンドメディアの計測ではこれまでGoogle Analytics(GA)が一般的には広く活用されてきましたが、その点はいかがでしょうか。

 

作山:GAも当然併用しているのですが、違いでいえば例えば、TRENDEMONではPVだけではなくコンテンツのボリュームによって動的に滞在時間やスクロール率を加味し、読了率を精緻に計測しています。当たり前のことですが、記事はきちんと読まれて初めて意味を持つもの。読了率は非常に重要です。

 

そして、もっとも大きな違いは「アトリビューション」だと思います。コンバージョンについては、GAではラストセッションを主な分析対象としています。。学生募集を担当していたころはそのような短期的なものでも良かったのですが、今春から広報・PR部門に異動したことで、以前から課題に感じていた中期的なコンテンツマーケティングの必要性がより顕在化してきました。とりわけ顧客育成を目的としたコンテンツ施策となると、長期間のジャーニー計測テクノロジーを持つ計測ツールが必要になります。この問題意識とTRENDEMONのソリューションがちょうど合致しました。

 

※TRENDEMONによって可視化できるジャーニー範囲イメージ

 

嶋添氏:コロナ禍以前はコンテンツの価値を企業体として証明することがそれほど強く求められていなかったと思います。広告最適化だけにリソースを投じた方が短期的にはROIを改善しやすく、カスタマージャーニー全体を把握する必要性が高くありませんでした。ただ現在のようにオンラインコミュニケーションへの注力度が高まるにつれ、コンテンツへの投資は今後も加速していきます。その結果、弊社のクライアントでもある米国のウォルマート社を始めとする大手グローバル企業では既にコンテンツの費用対効果を可視化することは当たり前になってきており、その上でどのコンテンツを優先的に企画投資するのかを選定しています。このトレンドは国内でも徐々にではありますが、広まってきていると感じます。

 

またITPやCookieの制限などに見られるように、今後ユーザーデータの取得がより一層困難になっていく状況に対して、従来の計測ツールだけでは対応できない部分を補完する役割としてTRENDEMONを皆様にご利用を頂くケースも増えてきています。

 

コンテンツの自動パーソナライズ

 

―京都芸術大学におけるTRENDEMONの具体的なご活用法をお聞かせください。

 

作山氏:計測以外でいうと、Personalizationというレコメンド機能を活用しています。以前は何かコンテンツを一つ公開すると、公開時にパッと読まれる以外は閲覧数は少なく、眠ったコンテンツになってしまっていました。それが、Personalizationによるレコメンド機能によって過去に作成したパフォーマンスの良いコンテンツが、ユーザーごとにパーソナライズされた形でレコメンドできるようになったのです。それも自動的に。

 

※記事下に表示された「TRENDEMONによるおすすめのブログ記事」

また、コンテンツ制作という観点からもTRENDEMONのデータを通してどのようなコンテンツがジャーニー上のどの場所で貢献しているのかを把握することで、より精度の高いコンテンツを作れるようにしていきたいと思っています。

 

ただ、コンテンツマーケティング業務に携わる人であれば誰しも、具体的に読者層を想定し、ものすごく丁寧に時間をかけて制作したコンテンツが全く読まれなかったり、もしくは気が赴くままに書いた記事が意外と評判を集めたりといった経験を持っているのではないでしょうか。

 

だからこそ本学では、データ分析に過度に縛られるのではなく、「とりあえず気軽にコンテンツを投下し、ユーザーの反応を見てみよう」という方針も持ち合わせています。その上で、それぞれの作成したコンテンツが結果的に「ランディング(認知)」「ナーチャリング(興味関心)」「コンバージョン(決断)」のどのポジションに貢献しているかを把握することが重要です。これら一連の流れを想定していなければ、既に顕在化したニーズに対してのみ刺さるような情報を提供するしか術がなくなります。それでは刈り取り型の広告施策と変わらず、顧客育成につながりません。

 

嶋添氏:作山様のおっしゃる通り、全体のジャーニーを意識せずCVに近いコンテンツばかりを狙って記事制作をすると、どうしてもコンテンツの企画の広がりに限界があったり、実際に読者からすると、読み応えのないものになってしまいがちです。京都芸術大学様のコンテンツの中で個人的にも好きなコンテンツがありまして、京都ならではのローカル食文化や自然について書かれたコンテンツがあるのですが、一見すると資料請求などのCVに関連する要素は全く入っていないので、あまりCVに貢献していないように思われますが、実は資料請求者の多くがジャーニー上の入り口やナーチャリング部分でこのようなコンテンツを多く読んでいたということが明らかになりました。これは従来の計測ツールよりも長期間のジャーニーを可視化することができるからこそ得られたコンテンツインサイトであると思っております。

 

出典:瓜生通信 (https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/)

 

―その他分析業務にはどのように役立てていますか。

 

作山氏:ニュースリリースやSNSを含めた広報・PR業務を少人数で担っているので、正直なところ、オウンドメディアの分析にかけられる時間はそう多くありません。その点TRENDEMONのダッシュボードはすでに集計されたデータがインサイト化された状態で出ていますので、これをざっと見るだけでコンテンツのパフォーマンスを把握することができます。

 

※TRENDEMONのダッシュボードサンプル画像

 

また、分析に時間をかけすぎると、それに反比例するように創造性が発揮されません。ざっとした分析を通してある程度の仮説を出したら、まずはアウトプットすることを優先すべきです。TRENDEMONを導入したのは、私のような素人でも一目見ただけで状況を把握することができるからです。データ編集及び分析業務ではなく、コンテンツ制作にこそ人手をかけたいと考えています。

 

嶋添氏:当社として、ツール単体のユーザービリティについてはもちろんまだまだ多くの改善の余地がありますが、一般的なアトリビューション分析ツールと比較しても誰が見ても分かりやすいダッシュボード設計を心がけていると共に、海外のツールベンダーでは珍しく、日本のお客様から頂いたリクエストをもとに機能ローカライズ開発も海外市場と同水準のプライオリティで高速で実施しています。またコンテンツマーケティングのご担当者様は常に多忙な状態であり、コンテンツ制作で精いっぱいで、分析する時間がないのが現状であると思います。そこで当社では月に一度のレポーティングやシステム設定を含めた人的な支援も合わせて提供しています。

 

リーチのパーソナライズ機能も強化

 

―TRENDEMONの機能で最新のアップデートがあればお聞かせください。

 

嶋添氏:間もなくダッシュボードのUIが大きく刷新される予定です。またSalesforceのPardotなどのMAツールと連携させることで顧客リストや弊社のジャーニーデータをかけあわせた形でより精度の高いリーチ施策が可能となります。例えば業種やスコアリスト情報だけではなく、コンテンツの閲覧履歴に基づいたお勧め記事をパーソナライズされた形でメール配信することも可能になります。この取り組みではメールの開封率が以前の数倍以上になったと、驚異的な成果もお客様から頂いており、オウンドメディアの中だけでなく、リーチ手段のパーソナライズ化も今後強化していきます。

 

※外部ツールとの連携した場合のパーソナライズイメージ

 

―最後にお二方の今後の活動の展望についてお聞かせください。

 

作山氏:広告施策は最適化が進んだことで既にコモディティ化しました。中期的な施策を反映できるオウンドメディアであれば、独自のブランド価値を打ち出すことができます。ただし、ブランド価値をどれだけきちんと伝えることができたかを判断するには、ナーチャリング段階を適切に評価する枠組みを整備しなければなりません。従来のツールテクノロジーでは対応していなかった領域である以上、TRENDEMONのような補完的なツールを使いながら今後もコンテンツ施策に取り組んでいきたいと思います。

 

嶋添氏:これまでコンテンツはROIで可視化しづらい領域であるが故に、そのバリューが軽んじられてきた側面がありますが、広告が嫌悪されている時代の中で原始的ではありますが、“コンテンツ”こそ企業が生活者の気持ちに共鳴を呼び起こすことができる、残された数少ない強力なコミュニケーション方法であると思っております。

 

微力ではありますが、コンテンツの持つポテンシャル、そしてコンテンツを日々一つ一つ「想い」を込めて制作されているご担当者様の努力がこれまで以上に適正かつ、最大限評価されるように弊社としてもツールテクノロジーのアップデートを日々行ってまいりたいと思います。

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ブランド価値の向上と媒体効果の可視化が鍵‐ニューステクノロジーが語るサイネージ市場の未来[インタビュー]

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ニューステクノロジーはモビリティメディア 「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」を提供している。コロナ禍にあたり広告料金設定をインプレッション課金に変更したほか、新たな取り組みとして、都内の高級ヘアサロンを対象としたサイネージサービスも開始した。事業の振り返りと今後のサイネージサービスおよび市場の展望について、三浦純揮 代表取締役に話を聞いた。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 柏 海)

 

 

インプレッション課金で広告出稿に安心を

 

―「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」(以下、GROWTH)は2019年4月にサービスを開始し、約1年半が経過しました。改めて、この1年半を振り返ってみていかがでしょうか。

(2019年に行ったExchangeWireのインタビューはこちら

三浦氏 クライアントニーズが継続的に発生し、非常に良い成長スピードで事業を伸ばすことが出来ました。コロナ禍の前までの広告枠はほぼ満稿という状況が続いていましたね。ただ、3月以降はコロナ禍の影響を受けて、特に緊急事態宣言で外出をする人が減ったのは事業にも相当なインパクトがありました。タクシーサイネージはオフラインメディアのため、乗客の数がメディア在庫に直結します。タクシー自体は公共交通機関の側面もあるため、一定の在庫はあったものの、通常時に比べると2~3割ほどの広告規模になってしまいました。

しかし、9月時点でタクシー利用者も8割ほど戻り、GROWTHの売り上げも回復して来ています。また、GROWTHの「エコノミービュー」という乗車5分以降から18分程度までに流れる広告メニューのインプレッションについては、既に100%まで戻りました。タクシーのヘビーユーザーのなかには、どうしても長距離を移動しなければならない企業の経営者もいますが、そういった場合には長距離の移動に際しても電車を使わず、よりプライベートな空間に近いタクシーを積極的に利用する傾向もあると聞いています。

 

※ 出典:THE TOKYO TAXI VISION GROWTH媒体資料

 

―広告主の変化はありましたか。

三浦氏 コロナ禍の前までは、BtoBのサービスが6割、残りがBtoCという状況でした。

今の状況下の変化としては、会社受付に置かれているようなアルコール消毒用品やサーモグラフィカメラを提供している会社からの広告出稿や問合せが増えていますね。また、中にはPCR検査が可能な民間の病院やクリニックからの広告出稿もいただいています。

こういった広告主の業種の広がりはまさにコロナ禍を象徴するような状況です。

また、広告主からはコロナ禍をきっかけにインプレッション課金への要望が強くなり、現在GROWTHでは期間掲載保証型の広告メニューから、インプレッション課金での広告メニューに代わりました。具体的には、期間掲載保証+インプレッション課金で、各広告メニューに設定された想定表示回数が下回った場合、放映実績回数にインプレッション課金再生単価を掛けた金額でのご請求を今は行っています。なお、想定表示回数を放映実績回数が超えた場合は、申し込み金額のままでのご請求になります。

デジタル広告のようなメニューとなりますが、このインプレッション課金への取り組みは、タクシーサイネージを提供している同業他社も同様に行っています。

広告主の立場から考えれば、またいつ緊急自体宣言が来るのか分からない状況下で多額の広告投資をするのはリスクが高く不安もあります。

そういった前提で「1週間に約100万再生されるので400万円かかる広告」を買うよりも「1人につき単価が4円かかり100万人に視聴されたので400万円かかった広告」のほうが、広告主にも安心してタクシーサイネージを使ってもらうことが出来ます。

 

媒体価値向上に向けた業務提携

 

―ニューステクノロジーではラクスルと業務提携し、クライアントのメディアプランニングのトータルサポートや、効果分析レポートを提供する新たなパッケージプランの提供を始めました。この狙いはどのようなところにあるのでしょうか。

三浦氏 自分たちのGROWTHという媒体価値を最大限に生かし、広告を科学してプランニングをすることが可能なパートナーが必要だと考えたからです。

世の中でもタクシー広告が認知され、昨年からGROWTHの広告枠は満稿が続いていた一方で私には危機感もありました。それは、広告を出稿していただいたクライアントのなかには、結果を出せたクライアントだけでなく、結果を出せなかったクライアントもいただろうということです。

我々は媒体社なので直接クライアントと接する機会はなかなかありません。しかし、より多くの人たちに長く活用して頂くためにも、媒体価値は高めていかなければなりません。では、その“価値”とは何かと考えれば、認知や売上に繋がり、クライアントのビジネスにインパクトを与えていくことなのではないかと思います。

特にBtoBの会社は認知寄りのマーケティング施策の経験が不足しているのでないかと感じており、更に認知の領域からコンバージョンやリードに繋げるとなればその傾向が顕著になります。ニューステクノロジーではラクスルと提携することにより、実際にどのサービスが何件売れて、広告出稿に価値があったか、またどうすればより価値のある広告出稿が出来たかまでプランニングをすることが出来るようになりました。

 

―8月にはメトロアドエージェンシーとも連携し、東京メトロの駅に設置されたデジタルサイネージへの配信も可能となりましたが、こちらも媒体価値を高めるための取組になるのでしょうか。

三浦氏 我々はモビリティネットワークという言い方をしていますが、出社時や退社時、日中など、それぞれで移動が行われるタイミングでどのように広告を発信してくかを考えていけば、色々なモビリティを持っているパートナーと連携し、お互いの相互補完や価値向上に取り組みネットワーク化していくことは不可欠ではないかと思います。

クライアントはタクシーサイネージに広告を出稿する自体が目的なのではなく、サービスへの問合せや売上を増やすことが目的です。

我々もサイネージだけをやっていれば良いとは思っておらず、ラクスルとの業務提携も含め、様々な事業に取り組んでいます。今後も様々なプレイヤーと協力をしながら事業を進めていくことが必要となっていくのではないでしょうか。

 

都内高級ヘアサロン専門サイネージをスタート

 

―6月には新たに、都内の高級ヘアサロン専門のサイネージメディア「THE TOKYO SALON VISION COVER」(以下「COVER」)の提供を開始しました。都内の高級ヘアサロンに特化した媒体ということですが、どのような狙いがあるのでしょうか。

 

三浦氏 COVERのターゲットは、都内の高級ヘアサロン(平均顧客単価2万円以上)を利用する美容感度が高い層になります。美容室を利用している瞬間というのは美容意識が高まっている瞬間でもあり、そこを狙ってコミュニケーションが出来るという点には大きな価値があります。

 

※ 出典:THE TOKYO SALON VISION COVER媒体資料

 

11月末時点で80店舗1,000面にサイネージの設置が完了する予定です。全国に約25万店舗美容室はありますが、地方にサイネージ面を広げて販売をしていくよりも、しっかりと“都内の高級ヘアサロンを利用し一定の購買力と自己投資意欲があり、かつ美容好感度が高い層にリーチできる”という独自性やブランドを作り上げていきたいと考えております。

私自身の考えとしては、消費者のニーズが多様化する中で、それぞれのニーズに合わせたコミュニケーションの設計が必要だと感じています。そのような意味でも、特定の人だけを対象とした高品質なシャンプーを、特定の層に向けてコミュニケーションをしたいニーズはあると思います。これはマスブランドであっても、特定の層を狙ったリーチの需要が今後行われていく可能性があります。

また、都内に絞っている理由としては、地方のサイネージ広告を販売するよりも都内のサイネージ広告を販売するほうが収益上も安定するだろうという、今までGROWTHを扱ってきた上での狙いもあります。

そのため、今後は設置を一定程度進めていくだけでなく、ビーコンを使用したスマホ連動サービスの開発やInstagramを使ったコミュニケーション設計など、カスタマージャーニーに寄り添いながら、ブランド価値の向上や購買傾向を高めていける施策を作っていければと思います。

特に、ブランド価値を作るというのは大きなテーマです。ヘアサロンサイネージに広告を出稿するという文化自体はまだクライアントのなかで固まりきっていないのではないかと考えています。そのためには、デジタルと同様に、具体的な数値を踏まえて結果を振り返ることができ、クライアントにもロジックを持ってフィードバックすることができる体制を早急に構築する必要があると考えています。

 

広告効果の可視化がより良い市場の成長へ

 

―改めて、今後の市場及び貴社の事業展望についてお聞かせください。

 

三浦氏 会社としては、デジタルサイネージ事業だけでなく、映像制作に長けたコンテンツクリエイティブ事業や広告運用コンサルティングを行うメディアアカウント事業を行っています。メディアが増えていくことにより、中身のコンテンツやデジタルも絡めた広告運用・分析というのは更に重要となっていくので、引き続き連携を取って進めていきたいと思います。

その中でメディアの話を取り上げますと、デジタルサイネージ市場は今後伸びていくといわれており、私自身も伸びていくだろうと見ています。

しかし、どのように伸ばしていくか、という点については考えていかなければならず、私自身今後やるべきなのは「ロケーションの開拓」と「開拓したロケーションのデジタル連動」ではないかと思います。

今、弊社では、サイネージを「モビリティ」「シティ」「インストア」「ホーム」の4つを主な軸として定義付けており、特にモビリティ分野での成長が著しいです。ただ、様々なロケーションやシチュエーションでユーザーの属性や気持ちは変わっているはずなので、そこを把握しながら面を増やし、媒体として育てていかなければなりません。

また、デジタル連動というのはレポーディングとして振り返るだけでなく、ウェブ広告でいうKPIをサイネージでも示し「サイネージはこれだけの広告効果が見込める媒体です」と言えるようになることです。場合によっては、広告効果が可視化されることにより、今までの媒体価値が下がってしまう媒体もあるかもしれません。

しかし、自信を持って「このサイネージはこれだけの価値があるからこの値段で提供をしています」という意識を持ち販売をしていくことが、サイネージ市場のより良い成長につながっていくのではないかと思います。

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フォロワー至上主義を脱し真のブランドインフルエンサーを発掘 [インタビュー]

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コロナ禍でも成長を続けるインフルエンサーマーケティング市場。だが、市場が大きくなることで様々な課題も見えてきている。広告主にとって、そのインフルエンサーが本当に自社のパートナーとして適切であるかどうかを見極めるうえで、インフルエンサーマーケティング業界にあるいわゆる“フォロワー至上主義”は、課題の代表例としてもあげられることがある。

このような課題に対して、トライバルメディアハウスは今年8月に 、国内で唯一のTwitter DataOfficialPartnerである株式会社NTTデータが提供する「なずきのおと」の付帯サービスとして、Twitterの全量データを活用しユーザーの消費行動への影響力を可視化する、「HOPSTAR(ホップスター)」というユニークなプロダクトをリリースした。

リリースの背景や、同社が認識するインフルエンサーマーケティングの市場感について、同社プロダクト担当者の服部真人氏にお話を伺った。

HOPSTARプロダクトサイトはこちら

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下智之)

 

 

 

 

フォロワー至上主義を再考する

-貴社の事業概要について改めてお聞かせください

当社ではソーシャルメディアマーケティングを軸に、大きくはソリューションやプロダクト開発の二つに分けた事業を展開しています。売上の比重はソリューションのほうが大きいのが現状です。

弊社のソリューション事業としては、ソーシャルメディアの運用やコンサルティング、キャンペーンの企画立案などをサービスとして提供しています。また、プロダクト開発の事業では、SaaSで提供するマーケティングツールを提供しています。

Boom Researchという、ソーシャルメディアやブログ上のクチコミを収集することができるツールや、Engage Managerというソーシャルメディアの統合管理ツール、必要な情報を簡単に残せる、必要な情報が簡単に見つかる情報共有ツールwelogなどを提供しています。

ソーシャルメディア黎明期から大企業のデジタルマーケティング支援を行っており、確かな実績があります。また、グループ親会社のNTTデータやネットイヤーグループとの事業シナジーも強みとしております。

また、代表をはじめソーシャルメディアマーケティングに関する著書を出しているメンバーもいるなど、業界のオピニオンリーダーとしてリーダーシップを取っています。

 

-インフルエンサーマーケティングについての現状のご認識をお聞かせください。どのような課題がありますか?

インフルエンサーマーケティングに対する課題はいくつかあります。一つはインプレッションやフォロワー至上主義です。いわゆるインフルエンサーマーケティング会社とインフルエンサーとの握りはフォロワー数一人当たりいくらというところにあり、インフルエンサーは、フォロワーが多ければ多いほど1投稿あたりの金額があがっていく仕組みになりがちです 。

そうすると、どうしてもフォロワーが多ければ多いほどインフルエンサーとしての価値が高くなるという図式が生まれてしまいます。

インフルエンサーの方全てが対象ではないですが、ほんの一部の悪意のあるユーザーに限定して、フォロワーをお金で購入し、偽のフォロワーであたかも影響力を大きく見せるということを、一部のインフルエンサーが行っているのは、インフルエンサーにも非はありますが、このようなサービスを提供にしてしまっている企業や社会にも問題はあると思っています。(多くのインフルエンサーの方は真面目に取り組んでいると信じています。)

本来インフルエンサーマーケティングとは企業全体のマーケティング活動の中で考えるべきですが、そうではなくキャスティングが至上命題となってしまっているようなケースもみられます。

そうすると、商品とインフルエンサーがマッチしているかを考えずにキャンペーンが実施されてしまったり、インフルエンサーの意図にそぐわない形でプロモーションが行われてしまったりすると、広告主・インフルエンサー両者にとって不幸な結果となってしまいます。

その他にも、最適なインフルエンサーをどのように探すべきか、あるいは効果を測るべきポイントが不明瞭などということを、多くの広告主が課題に挙げており、ROI(費用対効果)の検証にも課題が残っています。

 

 

インフルエンサーはリーチやインプレッションで買うものではない

-プロダクトの概要と提供背景をお聞かせください

HOPSTARは、従来のインフルエンサーマーケティングツールと異なり、独自に定義したインフルエンス数(注1)・ファンスコア(注2)を用いて影響力を数値として可視化しブランドにとって最適なインフルエンサーを見つけることができます。

従来のインフルエンサーマーケティングツールでは、フォロワーやエンゲージメントの数などを中心にそのインフルエンサーの価値を評価していることが一般的ですが、HOPSTARでは、SNSユーザーがフォロワーの消費行動に影響を与えた形跡をインフルエンスログとしてトラッキングし、ブランドの消費行動に影響力のあるインフルエンサーを選定する方法でインフルエンサーを見つけることができます。

 

注1)インフルエンサーがフォロワーの消費行動へ及ぼす影響力を数値化したもの。「アウェアネス(意識・態度変容数)+ビヘイビア(行動変容数)」の合計値。
注2)ブランドのファン度を6段階でスコアリングした値。

 

先ほど述べたような現状課題をはじめ、広告主がインフルエンサーをインプレッションで買うビジネスモデルとなってしまっている現状があり、トライバルとしてはこうした状況を変えていきたいという想いがありました。

先に申し上げた通り、我々としてはこれまでのブランドや商品に関する投稿があったとき、フォロワーの態度変容を促したかどうかという軸で、インフルエンサーの価値、すなわち影響力を図るべきであろうと考えています。もちろんこれは、従来型を否定する意味合いではなく、今回トライバルが目を付けたポイントが違うということとご理解いただけるとうれしいです。

また、広告主とインフルエンサーとの関係は、本来は短期ではなく中長期的なものであるべきだという考えがあります。そうでないと一度きりのお付き合いとなってしまい、インフルエンサーの方もブランドや商品のこと深く理解することが難しいと考えていますし、そのようなインフルエンサーの方がよりブランドのことをより理解する、より好きになってもらう環境づくりを我々のような会社が提供していく必要があると考えています。これが、今回のプロダクトとして開発をしていこうと社内で決断した背景のひとつでもあります 。

 

 

提供先は350ブランドに限定

-提供形態や想定する顧客層についてお聞かせください

ツールは広告主や広告主を支援するエージェンシーなどに対して提供しています。

料金は、月額83,000円で年間契約という形をとっています。想定している顧客は、化粧品、アパレル、家電、食品・菓子、飲料、航空業界など、17業界、350ブランドとしています。また、Twitterの全量データを扱い日々膨大なデータ量を分析していることになります。そのためNTTデータ社とも協議の元、ブランド数を限定してご提供とさせていただいております。

あらかじめ当社が選定した350ブランドであれば収集対象として設定しているため 、お申込みいただいてから3営業日ほどでお客様にご提供することができます。

 

 

膨大なつぶやきの から、ブランドに最適なインフルエンサーを見出す

-現状の分析対象としているのはTwitterのみですが、今後は他のプラットフォームも対象に含めていく予定でしょうか?そのほかに何か新たな機能を付け加えていくことを想定されていますか?

この点はまさにいま議論をしているところです。現状要望として大きいのが、Instagramへの対応です。今後顧客からのフィードバックなどを元に分析対象とするソーシャルメディアを増やしていく予定です。

8月にリリースさせていただいたβ版に関しては、現時点ではブランドに最適なインフルエンサーを見つけるというところにフォーカスをしていますが、今後はプロダクト上でインフルエンサーの活動状況を可視化できるようなダッシュボード機能やインフルエンサーとのコミュニケ―ションを円滑にするDM機能などを実装していく予定です。

他社のインフルエンサーマーケティングプラットフォームなどは、インフルエンサーに登録をしてもらうことで、インフルエンサーのデータを取得し分析する形態をとっています。HOPSTARの場合は、Twitter上で膨大に発生するツイートの中から、ブランドにとってふさわしいユーザー候補を抽出してきますこのとき、影響力のあるツイートをしているユーザーは 、自身がそのブランドにとっての影響力を持っているということを認識していない場合もあります。これをまず認識してもらい、ブランド側としっかりとコミュニケーションをとってもらうのにもHOPSTARを活用してもらえればと考えています。

 

―HOPSTARの導入はすでに決まっているのでしょうか?

すでに、航空会社や大手カフェチェーン、大手旅行代理店など数社導入が決まっています。引き続き、HOPSTARのプロダクト認知をあげるとともに、拡販をしていく必要があると認識しております。

 

―HOPSTARと類似の機能を持つツールは他社にあるのでしょうか?

おそらく消費行動という軸でインフルエンサーマーケティングに対して向き合い数値を可視化していくというツールは存在しないと思われます     。

まずデータ量で行くと、Twitter社から全量データの提供を受けているのは日本ではNTTデータのみです。SaaSのサービスでこの値段で提供できるのは、当社ぐらいだと考えられます。

ぜひ HOPSTARは、インフルエンサーマーケティングに新しい考え方を持ち込んだツールになります 。インフルエンサーマーケティングにおいて課題を感じてる方や、新たに始められる方などがいらっしゃいましたらお気軽にお問合せ下さい。

 

HOPSTARプロダクトサイトはこちら

 

 

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第三のリタゲ広告プラットフォームが挑む市場の攻めどころ[インタビュー]

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リターゲティング広告というと、多くの方の中で大手事業者の名前がすぐに思い浮かぶであろう。

だが近年、この領域で成長を続ける事業者がいることを忘れるべきではない。RTB Houseで営業をリードする高橋君成氏と、顧問として参画している上野正博氏にお話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

市場が求めていた第三のリタゲ広告プラットフォーム

-お二人がRTB Houseに参画した背景をお聞かせください

高橋氏:私はリクルート、Criteoなどを経てRTB Houseに日本人社員1人目として参画しました。現在は日本全体の売上責任やPR活動を責任範囲として従事しています。

元々Criteo時代から「いつか外資系の立ち上げをしてみたい」という想いがありました。そこで前職で働いていた2017年10月頃に、今の上司にあたるAPAC MDから連絡をいただき、入社をしました。

もちろんリターゲティング広告市場という市場はすでに日本では飽和状態になっており、今このタイミングからなぜ参画するのか、と周囲からは疑いの目を向けられましたが、「人生は一度きり」というのが人生の根底にあるので、飛び込んでみよう、というチャレンジの想いが強かったです。

入社してからはオフィスの立ち上げや日本語の契約書作成、代理店探しなど日本展開における準備を進めてきて、現在に至ります。現在日本のオフィスには27名の従業員が在籍するまでに成長しました。

 

上野氏:私は2019年1月からRTB Houseの顧問として活動しています。それより以前に、RTB HouseのAPAC MDから「日本の事業が伸びているのだが色々とアドバイスをもらえる立場になってほしい」といわれました。最初は、前職の直接的な競合にあたる会社でもあり、流石に難しいということでお断りました。ただし、その後も気になっており、当時すでに入社していた高橋にプロダクトのことを詳しく説明してもらったのです。説明を聞いていたら、その技術が優れていることに気づきました。

この技術で一番面白かったのは、他の大手リターゲティングプラットフォームが良質であると判断しないユーザーをRTB Houseは良質と判断するという点です。このため、他のプラットフォームと比べてそれほどユーザーのカニバリゼーションが起こらないのです。また媒体から買い付けるCPMの水準も高い。ですので媒体社にとって、新たにRTB Houseを導入していただくことで新しい収益が得られるソリューションであることを見出しました。広告主にとっても新しいユーザーにリーチすることができる機会を得られる。これであれば業界のお役に立つことができると思い、現在事業を手伝っています。

私の役割は主に広告会社の幹部の方などとのネットワークの構築です。最近は営業会議にも入って、営業レポートに対するフィードバックなどをしています。

 

強みはDeep Learningを軸にした技術

-RTB Houseのリターゲティングプラットフォームとしての強みや差別化ポイントをお聞かせください。

高橋氏:Machine Learningではなく、Deep Learningを軸にした広告配信技術を持っていることが一番の強みです。また、そのエンジンから、CPAやROASの保証ができる課金プランも提供しています。つまりよりコンバージョンに重点を置いた配信をしているので、より優れたエンジンを持っていないとこのビジネスモデルは成立しません。そのほかにもキャンペーン設計を柔軟にできるところが外資系のDSPに比べると差別化になると思います。もちろんなるべく手を加えずに配信をすることで学習のスピードが早まることは多いです。ですが、日本においてはリターゲティング広告を多くの広告主が1回以上はトライされている状態で、リターゲティング広告に対しての評価は各社決まっている印象を受けています。

「この条件だったらもう一回トライしてみたい」「本当はこの条件でリターゲティング広告をトライしてみたかった」というお声を最近は特にいただくことが多いです。

当社の業績は、他社と比べてみても利益率が高いのですが、媒体社や広告主に高い利益還元をもたらしてなおも会社の利益率が高いということは、エンジンが優れていることを何よりも証明している事実であると考えています。

直近で月数千万円の出稿をいただいている企業様に協力いただき、他リタゲ事業者との乖離について調査を行いました。内容としてはRTB House経由のCVのアトリビューションを調査し、そのCVはどこが貢献していたか、を調べてもらいました。そうすると全体の約40%がどこのアトリビューションにもつかなかったCVであることがわかりました。このことから広告主にとっても新しいCVユーザーを連れてこられる、という成果がみてとれます。

 

上野氏:ほかの国ではEコマースを筆頭に、アパレルのお客様が多いのですが、日本では金融や人材、不動産など独自の業種も多いのです。したがってエンジンがデータを学習してきた素地がないので、日本独自でこれらの業種のお客様を数多く開拓し、エンジンにも学習をしてもらうことが必要でした。

 

-広告主側のCPAに対する要求水準が高くなると、今度はボリュームが取れなくなると思いますが、広告主はそのことを理解しているのでしょうか?

高橋氏:CPA課金であることをお伝えすると、高い要求を求められるケースはあります。

 

上野氏:過度に高い目標を求められると、元々目標としていた獲得件数には遠く及ばなくなりますし、結果的に平均のCPAは下がらないという結末を迎えてしまいます。そのあたりはご理解いただいて判断していただくことが必要です。

 

高橋氏:最近は私たちの啓もう活動もあって、そこまで無理な目標を設定されるお客様も少なくなりました。

また今では、既に大手事業者がリターゲティング広告市場の土壌を作ってくれていたことで、広告主も広告代理店が大手広告プラットフォームに続く第3のリターゲティングDSPとして、当社を選んでいただけることが多いです。

 

営業戦略も、日本での成功の秘訣

-導入件数はどのくらいになるのでしょうか?また今後どのくらいの導入アカウント数を目指すのでしょうか?

高橋氏:現時点で数百アカウントに導入していただいています。

 

上野氏:リターゲティング広告が一定の効果を得るには、広告主側が一定の規模以上である必要があります。ですのでアカウント数が多ければ多いほどいいとは限りません。ターゲットリストが仮に10000社あったとしても、上限を決めておく方が営業戦略上望ましいということもあります。これは当社に限らず広告事業者全体に言えることです。

ただし今後マーケティングファネルの上位レイヤーで新規のお客様を増やすための広告プロダクトの取り組みを進めていけば、より多くのターゲットを視野に含めることができるようになってくるでしょう。

 

-多くの事業者が既に参入していた日本市場において短期間で急成長を遂げた理由についてお聞かせください。どのような戦略が成功したのでしょうか?

高橋氏:まずは営業戦略として大手広告主のみを狙っていく、という戦略がはまったのかな、と思います。規模としては100万UU/月間以上の広告主のみを日本進出後の2年間は主ターゲットにしていました。それはもちろんDeep Learningという特性からより多くのデータ量(ここではユーザー量)、また多くの商品データを保有する企業こそパフォーマンスを発揮できると思っていたのがあります。

また、大手広告主で成果を出すことで、売り上げのインパクトも大きく、扱っていただく代理店の目に止まりやすい、というのがありました。

最初はもちろん聞いたことのない媒体名で、しかもリターゲティング広告ということから敬遠されてしまっていましたが、地道な営業努力のおかげで今では多くの代理店から注力商材として扱っていただけるようにまでなりました。

 

上野氏:営業もさることながら(笑)、やはり技術には素晴らしいものがありますね。

 

-直近のリターゲティング広告需要について、コロナ感染拡大による影響なども併せて、お聞かせください。

高橋氏:3月以降から広告を取り巻く環境は大きく変わっています。業界として一部の職種を除く人材、旅行は停止になりました。一方で、オンラインショップを持っているEC系企業では巣篭り需要のおかげで、リターゲティング広告を配信しなくてもユーザーが買い物にくる現象が発生しています。そのためリターゲティング広告予算自体は4月以降現象傾向をたどっており、8月くらいまでは季節性もあったため予算は抑制されていました。

ただ、広告主のマーケティング担当者とお話をしていると、この期間にリーチできたユーザーをしっかりと囲い込むためにもリターゲティング広告はむしろ重要になってくる、というお話もいただきます。9月以降は、人材や旅行も含めて出稿が戻ってきており、年末にかけて回復基調にあります。

当社がCPA課金であるということもあり、出稿を再開するにあたり手始めに当社に出稿しようというようなお考えをお持ちの広告主も増えてきています。

 

上野氏:本当によくわかっているお客様は、コロナ禍で在庫が増えたことでCPMが下がったことで、逆に広告在庫を積極的に買い付けるというケースも多々ありました。

 

クッキーレス事態に向けた取り組みとは?

-GoogleやAppleなどの大手プラットフォームによるプライバシー対応強化を背景に、リターゲティング広告の今後については厳しい見通しも示されています。業界各社はどのような対応を取っていくと思われますか?また貴社はどのような対応を取っていかれるおつもりでしょうか?

高橋氏:まだ会社から公式見解が出ていないので確たるお話はできませんが、プラットフォームの対応に合わせる対応と、法律にあわせていく対応の2つが業界各社に求められていると思います。これは日本国内の話ではなく、GDPRやCCPAが絡むためグローバルの議論が必要になります。日本で個人情報保護法に対して対策をとれたとしても、プラットフォームへの対応ができていなかったらいけませんし、逆も然りです。

RTB HouseとしてはGoogleやAppleらプラットフォーマーとの検証を進めながら技術的対応を進めています。

ただしAppleのITPなどについては一部対策を講じるのを諦めている箇所もあり(※SafariについてはRTB Houseとしては対策を立てていないため、現状ほとんど配信されない)、そのあたりのビジネスとしての強弱をつけています。また、クッキーレス社会に対応したプロダクトの開発も進めており、対応としては万全に進んでいます。

 

上野氏:この質問は私たちにとっては非常に厳しいものですね。これは当社に限らず業界全体に影響を及ぼすことです。実際に始まってみないとどうなるかはわからないです。ターゲティングができなくなるということは、効率が落ちることです。広告主に対して今まで1万円でCPAを保証できたいたことが近い将来できなくなるということは、明らかに広告主にとってデメリットです。このままだとゆくゆくは広告主の間で「インターネット広告は効率が悪いから違うことに予算を割こう」という議論になるかもしれません。それを良しとするかということです。

またそれによりメディアもCPMが下がり、広告収入が減ってしまうことになります。

これを日本や海外の政府、社会が今後どのように評価、判断するかということでしょう。

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シェアリングサービスが作り上げた新しいDOOHメディア[インタビュー]

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2018年4月よりモバイルバッテリーシェアリングChargeSPOTの展開を開始したインフォリッチ。設置台数は2020年9月時点で20,000台を突破し、現在も拡大を続けている。ChargeSPOTではデジタル映像コンテンツも流すことができ、これを媒体化した広告商品の販売も開始した。ChargeSPOTの現在の活用事例と今後の展望について同社サイネージ部ゼネラルマネージャーの滝川佳延氏に話を聞いた。

(聞き手:ExchangeWire Japan 柏海)

 

 

フロンティア企業としてシェア90%以上を獲得

 

―インフォリッチの事業およびChargeSPOTのサービス概要をお聞かせください。

滝川氏 モバイルバッテリーのシェアリングサービス、ChargeSPOTが我々の基本事業になります。

モバイルバッテリーのシェアリングサービスは、日本ではまだ普及が進んでいませんが、アジア圏では当たり前のサービスとして普及しており、特に中国ではほとんどの人が利用しています。ChargeSPOTは香港を中心に事業展開がなされていたなか、そのサービスを日本向けに展開していたものとなります。

日本におけるモバイルバッテリーシェアリングサービスのシェアは、ChargeSPOTが90%以上。我々は日本におけるフロンティア企業でもあり、シェアナンバーワンでもある状況です。

―ユーザーはChargeSPOTをどのように利用すれば良いのでしょうか。

滝川氏 ChargeSPOTの利用者はスマートフォンでアプリを起動し、バッテリースタンドに表示されているQRをスキャンすることでバッテリーを借りることができる仕組みとなっております。こちらは自転車など他のシェアリングサービスと同様に、必ずしも同じ場所にバッテリーを戻す必要はなく、別の場所に置かれているChargeSPOTの空きスロットにバッテリーを戻すことも可能です。

現在は駅などの公共交通、全国チェーンのコンビニなど、ユーザーの出入りがしやすい施設を中心に20,000箇所以上に設置をしておりますが、日本国内で展開しているChargeSPOTのサービス仕様は、海外で展開しているChargeSPOTのサービス仕様と同じなため、日本の空港で借りたバッテリーを、香港の空港に設置されているChargeSPOTで返すことも出来ます。

ChargeSPOT

 

全国一斉配信・エリア限定配信に強み

 

―ChargeSPOTではどのような広告サービスを提供しているのでしょうか。

滝川氏 現在主に提供しているのは、バッテリースタンドのデジタルサイネージを利用したDOOHの広告ビジネスとなります。ChargeSPOTで流している映像コンテンツは1ロール6分となっていますが、そのうちの4分はインフォリッチとロケーションオーナーの映像コンテンツをそれぞれ流しており、残りの2分、30秒×4枠を広告枠として販売しています。

全国一斉配信やエリアを絞った広告配信も可能で、ロケーションオーナーや代理店が異なることも多いDOOHにおいて、一括で大規模なDOOH広告配信が出来るというところに我々自身ニーズを感じています。例えば、静岡県内を対象とした国勢調査への協力の呼びかけや、全国を対象に新型コロナウイルス接触確認アプリ、COCOAの告知広報を全国展開した実績もございます。

特に我々のサービスが他のOOH広告と大きく違う点としては、デジタルサイネージに表示されたQRを読み込ませることによりサービスを利用するため、広告をながら見させるのではなく、じっくり見せるということも、ユーザーのアクションのなかで自然にできています。

また、A地点でChargeSPOTを利用し、B地点でChargeSPOTのバッテリーの返却を行った人にだけクーポンを発行するような仕組みも可能です。今後、街歩きや周遊をさせたいニーズが戻り、企業や自治体からの企画提案が増えていけば、より活用の幅も広がってくるのではないかと感じています。

 

ロケーションオーナーには自社広配信と来店集客のメリット

 

―ChargeSPOTを設置しているロケーションオーナーにはどのようなメリットがありますか。

滝川氏 メリットとしては、先ほども触れた「ChargeSPOTで流れている映像コンテンツのうち、2分をロケーションオーナーが利用できる」という点だけでなく、「ChargeSPOTがあることにより、バッテリーのレンタルや返却を目的にユーザーが訪れるようになるため来店集客の促進効果が期待できる」というのも大きなメリットとなります。

我々が出入りのしやすい施設を中心に設置を進めているのも、そのような理由があるからです。

―サービスの利用にはアプリのインストールが必要となりますが、ユーザーデータの取得等によるスマートフォン上での広告配信は行っていますか。

滝川氏 個人情報は電話番号以外一切取得していないので、ユーザーデータを元にした広告配信はしておりません。利用ユーザーの性・年代といった属性についても、アンケートで把握をしている状況です。今後はアプリ利用者や位置情報、移動情報などに基づいた広告配信や他メディア、技術などと連携したメニューなどを開発していく検討を、法令遵守のうえ適切に進めていきたいと考えています。

また、今は表示回数および表示単価でのみの広告販売となっていますので、そこも課題であると認識しております。今後はクライアント様、パートナー企業様などのニーズを吸い上げながら、様々なメニューを提案できればと考えております。

 

アフターコロナに向けた新たな取り組み

 

―今、DOOH広告において注目されている動向はありますか。

滝川氏 DOOH及びOOH広告は非常に厳しい局面に立たされていると感じております。元々、我々のサービスはインバウンドにも強く、従来のDOOHメディアとは異なり街をスタンプラリーのように周遊させることもできるという非常に強力な訴求要素はあります。しかし今のWithコロナ状況では、もう少し感染リスクが落ち着いてから取り組みをしたいというお声をクライアント様やパートナー様等からもいただきます。

また、我々もChargeSPOTを展開していてDOOH広告の厳しさを感じている一方で、新しい企画提案を持っていただけるようなクライアント様やパートナー様も多くいらっしゃいます。そこも踏まえて考えていくと、DOOH広告も単純に映像を表示するだけでは生き残れなくなっていくのではないかと感じています。

―今後のChargeSPOTの展開についてお聞かせください。

滝川氏 ChargeSPOTの設置数は20,000台を超えましたが、2022年には100,000台の設置完了を予定しております。このネットワーク化された100,000台の広告媒体が全国に設置されたときには、非常にインパクトのあるオンリーワンメディアになります。

また、100,000台の設置に向けて、ChargeSPOTを利用するためにアプリをインストールするユーザーも同時に拡大させています。アプリとサイネージを連動させた広告配信の展開は現在も可能ですが、近い将来ChargeSPOTの利用ユーザーを対象にするだけで一つのマーケティングが完結できるような新しいメディアとなることも可能だと思っています。

現時点でも様々な広告やイベント企画の提案をいただきますが、なかには「地域一帯にChargeSPOTを設置するので、その運営を任せてもらいたい」という提案もありました。ChargeSPOTは我々自身が企画を考えるよりも、皆さんから新しい提案をいただくことのほうが多く、メディアとしての価値が高まりつつあることを感じております。

今は様々なパートナー様と組みながらChargeSPOTを使った企画や広告のトライアルを行っている段階ですが、新しいメディアの担い手として、アフターコロナに向けた準備も進めていきたいと思います。

【ChargeSPOTに関するお問合せはこちら

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4大メーカーのコネクテッドテレビデータと切り拓く、DSPの新しい道筋[インタビュー]

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ソニーグループのアドテク企業SMNは、Connected TV Data Bridge(以下、TVBridge)という、500万のコネクテッドテレビのテレビ視聴データを活用した新しい広告商品の提供を開始した。このサービスは、SMNが主体となって着手し、国内大手テレビメーカー4社との契約により成し得たものであるという。

サービスの概要や提供背景、そしてこのサービスを活用した同社の今後の取り組みについて、SMN執行役員 安田 崇浩氏(写真左)、事業戦略室 高岡 滋氏(写真右)、そしてグループ会社ネクスジェンデジタル代表取締役社長 谷本 秀吉氏(写真中央)にお話を伺った。

 

 

-自己紹介をお願いします

谷本氏:今年の3月までSMNで執行役員としてアドテク事業の事業戦略・商品企画を担当していました。その後昨年9月に始動した新会社のネクスジェンデジタルに専念のため、その職を離れましたが、本サービスの着想から実現に至るまでのところを統括している立場でした。

 

安田氏:2012年のLogicadの立ち上げからアドテク事業に関わっています。Logicadのシステムを一から作るところを担当していました。現在は、執行役員として技術面全般を担当しています。

 

高岡氏:SMNでは事業戦略室で、TVBridgeやVALIS-Cockpitの事業立案と新規開拓の立ち上げを担当しています。

 

 

テレビCMと連動した施策に

-今回リリースされたTVBridgeの概要と背景にある市場背景について、お聞かせください

谷本氏:商品は二つに分かれています。一つはTVBridge Adsです。Logicadの広告配信エンジンを基盤とした新しいテレビ視聴データに特化したDSPです。TVBridge DMPは、テレビ視聴データを他の広告プラットフォームを使って配信したいというニーズにこたえるためのDMPです。

また、DSPによる配信は動画フォーマットがメインとなることを想定しており、テレビCM施策と連動した展開が可能となります。

 

―DMPのデータの活用先は、広告プラットフォームによる制限を受けないのでしょうか?

谷本氏:IDFAとADIDを使って連携することが出来ますので、主要の広告プラットフォームはほぼ全て対応しています。この構想は着想から実現に至るまで長きに渡りました。米国ではアドテク業界においてコネクテッドテレビの話題性や注目度が非常に高いことが、もともとの着想のきっかけでした。その後シンガポールで開催されたアドテクカンファレンスでも話題の一つとして取り上げられているのを耳にしました。日本のマーケットではこの領域はまだ未着手であったこともあり、何かできるのではないかと思ったのがきっかけです。

当社はソニーグループですので、テレビ視聴データを活用した広告サービス連携はグループ間では既に行ってきました。広告主の方に、より拡張性の高いサービスとしてご提供するために、複数の国内大手のテレビメーカーの企業と協業することにしました。

 

―実現に至るまで苦労された点をお聞かせください

高岡氏:もともとテレビメーカー各社が抱えていた課題は同じでした。したがって、ビジネスを一緒に展開することへの合意はスピーディーに進みました。ただし実際にどのようにビジネスのスキームへと落とし、商品としてどのように打ち出しをしていくかということについては、各メーカーの既存のビジネスとの兼ね合いやカルチャーの相違があるため、

実現に至るまでには紆余曲折がありました。

そして、この商品が今後どのように市場で受け入れられて発展をしていくのか、どのように次の取り組みに生かしていくのかについては、現在議論を重ねています。

 

安田氏:技術的な観点では大きく二つありました。データ接続を行った各社のテレビ視聴データの形式は、似てはいるもののフォーマットの仕様には違いがあります。その仕様の違いを埋めて統一化すること、これが1点目です。この作業は一社一社、計4社とじっくり取り組んでいく必要がありました。

2点目は、データの取り扱いについてです。各テレビメーカーはプライバシーポリシーをもってデータを取り扱っています。それに正しく従ったデータの取り扱いをするということもまた、時間をかけて慎重に取り組みました。

 

 

テレビメーカー4社との提携の意味と意義

―リリース後の反響はいかがでしょうか?

谷本氏:今回このサービスを通して実現したいのは、家庭内でリビングを占有している強力なテレビとデジタルとの融合施策を実現したいと考えています。

テレビとデジタルとをうまく組み合わせて、広告を通して生活者にメッセージを届けることに対する広告主の強いニーズに、この商品で応えていきたいと考えています。

これまでテレビ広告を出稿し続けてきた広告主は、デジタルへの取り組みにまだまだ慎重であり、その効果をあまり感じておらず、アドベリフィケーション問題に対してもナーバスです。デジタルに対して引き続き課題感を持っている広告主に対して、デジタルをテレビCMの補完的な位置づけでうまく活用していただきたいと思っています。

そしてリリース後はそのようなニーズを持つ広告主様からのお問い合わせを多数いただいております。

また例えば1メーカーのデータを使った視聴データターゲティング広告では、ユーザーの母数が限られます。そのような場合、これまでアドテク業界ではとても普及しているLook-a-Likeや拡張というような拡大推計技術を多用していましたが、どうしても精度が不完全です。

今回国内大手4メーカーの視聴データが集積することによって、国内最大級の500万のデータ数(2020年9月時点)を使い、当社のIDベースでは2100万(2020年9月時点)のユーザーにリーチすることができるようになりました。

また、1社のみのユーザーだとユーザーの趣味嗜好の特性が出てしまいがちです。メーカーによって趣向や属性などのバイアスがかかってしまいますが、複数社のデータと合わさることで、より一般的化されることで、データの価値が高まりました。このような点を注目いただき、現在お問い合わせが増えています。

 

 

テレビCMを補完し、幅広くブランドリフトを実現

―想定している顧客についてお聞かせください

高岡氏:基本的にはテレビCMを出稿している大手広告主がターゲットです。

したがって、お客様に対しては、テレビと連動した施策のご提案がメインとなります。

テレビCMの出稿少ないお客様についても、リーチ補完という意味で、テレビCMを見ていないユーザーには補完関係を作れると思いますし、予算の都合上テレビCMを出稿できないお客様に対しては、もし予算があればCMを出稿したかったテレビ番組を見ているユーザーに対して配信することもできます。

  

―KPIはブランドリフトであるケースが多いのでしょうか?

高岡氏:はい、ブランドリフトを指標とされるケースが多いです。TV Bridge Adsは、リターゲティング機能を持っておりません。ユーザーを刈り取る場合には、当社のメインDSPであるLogicadを活用いただくことで、ファネルの上位から最下部までをカバーすることになります。

  

-テレビ視聴データと何か他のデータを掛け合わせるというメニューはあるのでしょうか?

高岡氏:テレビを見た個人を特定するというよりは、テレビを見た世帯をターゲティングするようなものでもグラフィックデータとの掛け合わせのメニューをご提供しています。

 

―テレビ視聴データを今後貴社のビジネスの中でどのように使っていこうとしているのでしょうか?何か構想があればお聞かせください。

谷本氏:新しいパートナーシップによる協業を何か実現できないかと考えています。より企業の広告宣伝や販売促進行為をより効果的なものにできるお手伝いをしたいと思っています。今後は、例えば実際に店舗をお持ちの企業がテレビCMを出稿した際に、来店効果を計測するなど、様々な手法がまだまだあると考えています。さらに、データを組み合わせることで、新しい価値提供ができるのではないかと思っています。

 

高岡氏:テレビ視聴データはあくまでも手段に過ぎません。何か一つの機能に絞って提供するというよりは、お客様の声を聞いて幅広く展開していきたいと思っています。

 

 

DSPビジネスの新しい道筋

―DSPを取り巻く市場環境を踏まえて、今後どのような取り組みをされていきますか?

安田氏:デジタル広告業界は変化が大きいので、その波につぶされないように取り組んでいきます。

目下の関心事項にはChromeのクッキー問題というのは含んでおります。これに関しては情報収集を続けており、Googleの動きに対応してビジネスを続けてまいります。

日本国内の生活者に対して、従来モバイルやPCのみならず、最近注力をしているDOOHや、コネクテッドテレビなどを通してしっかりと広告を配信するということができる技術基盤を構築していくことに取り組んでいきたいと考えています。

 

谷本氏:今回のTVBridgeのリリースは、お陰様で従来の商品リリースに比べても圧倒的に多くの反響をいただいています。我々はこの商品を通じてテレビとデジタルとの融合による相乗効果施策を実現したいと考えています。そのようなニーズをお持ちの広告主や、広告代理店様からは、この商品を取り扱いたいというお声を多くいただいております。

市場には同様の機能を持つプラットフォームはありますが、これは一部の会社のための利用に限定されています。我々はこの取り組みをよりオープンに提供していくことを考えています。

このデータセットの可能性はコネクテッドテレビの普及とともにますます増えていくということです。このデータはユーザーからパーミッションを取ったデータであり、視聴行動と個人とを紐づけないものであり、マーケティングでの活用において非常に有効なものとなり得ます。この取り組みを機に今後色々な展開があると思っています。まだ我々が想像しないようなアイデアや取り組みが生まれてくることも期待しています。

 ユーザーにとり最適なターゲティング広告を追求していくと、データの利活用というところにたどり着きます。ただし利活用の仕方はレギュレーションやユーザーの心地よい広告体験を最優先したうえで行われるべきです。これに最大の配慮をしつつ今後この新しい商品を強くしていきたいという想いを持っています。

 

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BtoBマーケティング特有の課題とは―「シラレル」運営のマイクロアドの見解

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いまだ属人的な要素が非常に大きいと言われる法人営業。既に成熟しつつあるデジタルマーケティングの知見を生かすことがなぜそれほどまでに難しいのか。BtoB企業向けのマーケティングデータプラットフォームを提供するマイクロアド社の「シラレル」事業責任者に話を聞いた。

(聞き手:ExchangeWire Japan長野雅俊)

 

初期検討層向けのソリューションが不足

 

―自己紹介をお願いします。

 

株式会社マイクロアドのビジネスマーケティング部部長兼BtoB企業向けのマーケティングデータプラットフォーム「シラレル」の責任者を務める田島雅也と申します。マイクロアド社には社員が10名足らずのころから在籍している古株です。

 

―ご担当する事業紹介をお願いします。

 

シラレルは、IPアドレスや名刺などのデータに基づくターゲティング広告やレポーティングが可能なBtoB企業向けのマーケティングデータプラットフォームです。事業自体は2018年に立ち上げておりましたが、2019年7月より「シラレル」とリブランドした上で本格的に稼働させました。

 

―本事業を開始するまでの経緯をお聞かせください。

 

いわゆるアドテクノロジー業界全体がこれまでBtoCマーケティングに注力してきました。一般的にはBtoCマーケティングの方が予算規模は大きいので、致し方ない面もあったかと思います。

 

ただ当然のことながら、BtoB企業もマーケティングを必要とします。しかも、BtoCとBtoBではマーケティングのあり方が根本的に異なります。そうであるにも関わらず、BtoBマーケティング向けの適切なプロダクト、サービス、ソリューションが整備されていないというのが現状ではないでしょうか。そこでまずは手始めとして、BtoBの領域においてもデータに基づくデジタル広告配信がもっと活用できるのではないかと考えて、本事業を立ち上げました。

 

―従来のBtoBマーケティングではどのような手法が用いられてきたのでしょうか。

 

もちろん様々な形態があり得ますが、主なものとしては展示会への出展やDM及びメール配信があります。またデジタル広告においてはリスティング広告やSNS広告、またはビジネスパーソンを読者層に持つニュース媒体などへの純広告が挙げられます。このうち最後の「ニュース媒体への純広告」を除いて共通しているのは、顕在層を対象としているという点です。

 

ただし、BtoB商材は見込客にアプローチを開始してから実際に取引が成立するまでにかかるリードタイムが長い。そうであるにも関わらず、その最終段階にある顕在層向けのソリューションしかなく、その手前の初期検討層に対する打ち手がほぼないというのが課題です。

 

―そこで初期検討層向けには「ニュース媒体への純広告」の出稿が行われてきたのですね。

 

ただし、単一のニュース媒体の純広告を閲覧するユーザー数は限定的です。一方で媒体を横断した広告配信となると、BtoBに特化したターゲティングがこれまでできていませんでした。つまりニッチなBtoB商材のオンライン施策となると、ターゲティングした上で規模を確保することが極端に難しくなるのです。

 

そこで当社では、データを軸とした企業のマーケティングプラットフォーム構築サービスである当社の「UNIVERSE」の手法を生かすことで、ビジネスパーソンに対してオンライン上でターゲティングしつつ、広くリーチをとることができる広告配信サービスを開始しました。

 

―BtoBだけを切り出した新事業を創設する必要はあったのでしょうか。

 

BtoB業界に特化すること、そして広告配信だけに留まらないマーケティング支援事業の立ち上げは必須でした。BtoBに限らず、当社では飲食、自動車、化粧品といった各業界に特化した事業を数多く運営していますが、各業界さらには各企業のマーケティング戦略とどう組み合わすかという設計がきちんとできなければ、マーケティングツールとしては使い物になりません。

 

DSPの機能だけで差別化を図る時代はもう終わりました。精緻なターゲティング技術と継続的なマーケティング活動に繋げるためのレポーティング機能を備えたマーケティングプラットフォームが必須だと考えております。

 

企業情報に基づく広範な広告配信

 

―BtoBならではのターゲティングとはどのようなものなのでしょうか。

 

BtoBマーケティングにおいてはターゲティングの重要度が増します。決裁権を持つ役職者に直接アプローチしトップダウンを狙うこともあれば、現場の従業員にアプローチしボトムアップを図る場合もあります。

 

その手法としては主に2種類あります。一つ目は、先にも言及した、ビジネスパーソン層の会員データを豊富に持つメディアやデータベンダーが提供するターゲティング商品。会員データを用いるのでターゲティングの精度は高いのですが、自社配信のみなのでタッチポイントが少ないというのが課題です。もう一つは、ビジネスに関連した興味・関心に基づくターゲティング。媒体をまたいだ幅広いリーチを確保できますが、ターゲティングの精度は落ちます。

 

そこで当社では、ランドスケイプ社の「LBC」やGeolocation Technology社の「どこどこJP」が提供するIPアドレスのデータを活用することで企業の端末からのトラフィックを管理することに加えて、国内最大級の名刺アプリや「BOXIL」といったBtoB向けのサービスやメディアとも連携。正確かつ広範なBtoB広告配信環境を整備しています。

 

―シラレルを通じて配信された広告はどのように閲覧されることを想定していますか。

 

様々なシーンが考えられますが、オンタイムでの閲覧というよりは通勤時間や昼休憩といったオフタイムのネットサーフィン中に見られることを想定しています。ただし、BtoB商材の特性として、一目見ただけでその内容が理解できるとは限りません。つまり、一般的なディスプレイ広告が適さない場合があり得るということです。BtoBと相性が良いと言われているタクシーサイネージが、動画広告に注力する理由の一つでもあると思います。広告の配信先の選定だけでなく、広告クリエイティブにも工夫が必要です。

 

BtoB市場はまだまだニッチ

 

―BtoB広告市場に対する印象をお聞かせください。

 

現状ではまだまだニッチ市場です。BtoC広告市場と比較して、その規模は一桁もしくは二桁異なると思います。逆に言えば、ブルーオーシャン市場であるとも言えます。

 

近年ではBtoC企業がBtoBに事業転換するといった動きが顕著に見られるようになりました。さらにこれまで例えばオフィス向けのハードウェアを納品していた企業が、具体的な課題解決を目的としたソリューション提供に注力し始めた結果、企業ブランディングを強化するという事例も増えています。BtoB市場は独自性や他社との差別化を図るために、事業領域の細分化や再定義が行われやすいとも言えます。

 

ところが、コロナ禍でイベント出展や対面営業、テレアポが行いにくくなり、それらのBtoB企業は攻めあぐねています。そこでウェビナーを開催しようという話になり、最初は自前の顧客リストを最大限活用することで何とか集客するも、すぐに枯渇したという話もよく耳にします。こうした環境においては、BtoB商材におけるオンライン広告配信が拡大する余地は十二分にあると考えています。

 

―確かにウェビナーの集客需要は増えていそうですね。

 

ただし、企業が直接的な申し込みや登録を得るには広告配信以外にも様々な課題があります。例えば特定のイベント向けのLP及びそこに至るまでの導線をしっかりと設計できているBtoB企業は決して多くありません。せっかく認知を取っても、そこからの導線が整備されていなければマーケティングは成立しません。

 

そこで現在は代理店機能を持つグループ会社とも一体となり、認知からリード獲得までの包括的なマーケティング支援を行えるソリューションを提供し始めました。また、中小・中堅企業向けに少額予算でも実施可能なリード獲得支援のサービスも現在準備しています。こうした環境整備が進めば、BtoBマーケティング市場は飛躍的に成長するはずです。

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ビジネスホテルの客室内テレビをネットワーク化-ABCインターナショナルのDOOH広告戦略

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ABCインターナショナルは2019年4月より、ビジネスホテルの客室内に設置されている大型液晶テレビをネットワーク化した広告メディア、おもチャンネルの提供を開始した。ホテルの利用者が入室すると自動でテレビが起動し、音声付き動画による広告訴求を行うものである。おもチャンネルの事業概要と今後の展望について、同社の梶原浩平氏に話を聞いた。

(聞き手:ExchangeWire Japan 柏海)

 

 

25,000室のプライベート空間に向けて広告配信

 

―貴社の事業概要についてお聞かせください。

梶原氏:ABCインターナショナルは朝日放送グループの海外展開を担う会社として、テレビ番組や企画フォーマットの海外販売を行っています。その一環として、インバウンド関係のPRビジネスも手掛けていますが「海外の人たちに日本の商品をPRする際には、海外にいるときではなく、日本に来たとき=旅行中にPRをしたほうが効果的ではないか」という考えから、「おもチャンネル」がスタートしました。

―おもチャンネルはどのような広告商品でしょうか。

梶原氏:「おもチャンネル」は全国(東京・神奈川・千葉・愛知・大阪・京都・兵庫)のビジネスホテルの客室に置かれている大画面のテレビをネットワーク化させた広告媒体となります。2020年10月現在は全国のアパホテル客室を対象として、25,000室以上の客室に向けて広告配信が可能で、拡大を順次進めております。

ホテルの客室は入室後にルームキーを挿入すると、自動で客室内のテレビも起動するようになっています。テレビでは起動と同時にホテルのインフォメーション情報が流れるようになっているのですが、その右下をおもチャンネルの広告枠として開放しており、音声付の広告動画が流れる仕組みです。

ホテルの客室というプライベートな空間でかつテレビの大画面を使用するため、外部からのノイズも少なく、入室の際には必ず動画が流れるので半強制的に視聴行為を促すことが可能です。

おもチャンネル

 

リーセンシー効果が高い広告媒体

 

―視聴属性としてはどのようなユーザーが想定されますか。

梶原氏:ビジネスホテルを利用する日本人のビジネスパーソン、が主な視聴属性層となります。また、出張を伴う利用となるためにビジネスパーソンでも管理職・高所得層が多くなっています。

マクロミル社が実施した宿泊者調査でも、宿泊者の内、70%以上がビジネスパーソンであることが分かっていますが、役職に就かれている方も50%以上いて、かつ60%以上が世帯年収600万円以上となっております。また、宿泊を伴う出張の際には会社から出張手当が出るとともに、普段より自由時間も多くなり、コンビニでの買い物や外食など消費行動が起こりやすくなる、という調査結果も出ております。

ビジネスホテルが建つと近くにコンビニチェーンが出店されますが、そこに宿泊される方々がよく購入されるのをご存知だからだと思います。

例えば、ホテルに着いたと同時に缶ビールや清涼飲料水、お菓子などの広告を差し込むというのはリーセンシー効果(直前に接触した広告が購買行動に与える影響)も高く、有効なリーチ方法としてご案内を差し上げています。また、ビジネスパーソンでも役職付きの方の利用が多く、BtoB商材を決済権者に直接リーチができるため、ITサービスや転職サービスなどの企業さまからも、広告のご出稿をいただいております。

なお、訪日外国人の利用については(新型コロナの影響を受ける前の)2019年の実績とはなりますが、約23%の方に利用いただいております。事業立ち上げ時の狙いでもあった、旅行中の訪日外国人の方に訴求できる数少ない動画メディアとしても、今後はご活用いただける機会が増えていくのではないかと考えております。

 

客室から体験の場 『ショールーム』 に

 

―「おもチャンネル」のロール編成や実際の配信イメージについてお聞かせください。

梶原氏:1ロールは約20分で、広告のほかにもホテルのインフォメーションやPR動画、ショートアニメ等が挟まります。また、広告は15秒・30秒以外にも、インフォマーシャルとして最大180秒の枠を使って広告配信をすることも可能となっております。

1日/室あたりのおもチャンネルの平均再生時間は約80分となっており、1動画(1ロール)あたりの再生数・フリークエンシーは約4回となっています。そのような状況下で、2020年10月の広告枠別の再生数実績としても、各広告は月間300万回以上再生された結果となりました。

―ホテルの客室、という点ではほかにどのような広告訴求メリットがあるのでしょうか。

梶原氏:ホテルの滞在時間が、他の広告媒体が設置されているロケーションに比べて圧倒的に長いということが挙げられます。

この滞在時間というのは自由時間にも相当し、消費以外にも様々な行動や体験を促すことが可能です。

ホテルのWi-Fiに接続している状況下でのみ体験できるコンテンツの案内を行い、ドラマ・アニメ・漫画などを無料体験していただくようなこともできます。ホテルの客室をまるでショールームのような体験の場に変えることができます。

また宿泊者は各自のスマートフォンを使わなくても、ホテルに備え付けのVODを利用して、無料でドラマやバラエティ番組など、長尺の番組コンテンツを楽しんでいただけるような枠も広告商品として提供をしております。以前DVDレンタルでアメリカのドラマシリーズを借りたら、他のドラマシリーズの第1話が無料で見れるようになっていましたが、そのような試し視聴ができる環境があります。数話ドラマを見たら続きが気になるかと思いますが、続きはDVDシリーズを買って下さい・借りて下さい・サブスクに登録して下さいといった誘導が出来ます。

デジタルコンテンツ以外にも、ホテルのフロントでサンプリングも行っておりますので、日用品や食品・飲料などをお部屋で体験していただく時に、映像・音声でその商品の世界観を訴求できます。商品の世界観とリンクした商品体験は非常に大きいPR効果をもたらします。

ホテル利用者への広告配信イメージ

 

新たなホテルブランドの広告ネットワーク参加を目指す

 

―今後の展望についてお聞かせください。

梶原氏:現在の設置台数は約25,000台/室となっていますが、まだまだリーチを取れるように拡大していきます。アパホテルさまの直営店を中心として増やしていくだけではなく、今後はアパホテルさま以外でも、おもチャンネルのネットワークにご加入いただけるホテルブランドを増やしていきたいと考えています。

数年後にはネットワーク拡大により、100,000台/室を狙っていきたいです。

2019年にタクシーサイネージが非常に人気を博したことを踏まえると、視聴環境や視聴者属性が似ているおもチャンネルの可能性は非常に大きいと思います。1/2以下の再生単価で提供が出来ており、ブランドリフト調査でも良い結果が出ています。

上半期はコロナ禍の状況で大変でしたが、Gotoキャンペーン等の影響もあり、ホテル利用者数も大きく戻っています。これから更に高いポテンシャルを発揮していけるのではないかと考えておりますので、配信できる客室数や商品ラインナップを拡大していきます。

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オプトが注力する、ECモールの販売最適化 [インタビュー]

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オプトは、2018年7月に立ち上げたAmazon戦略部を今年8月に変更し、ECチャネル戦略部として事業拡張した。その背景や同社の戦略について、ECチャネル戦略部 部長 山岡 真士氏(写真:右)、チームマネージャー 白數 明子氏(写真:左)にお話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

 

 

大手メーカーの販売チャネル最適化を支援

―ECチャネル戦略部のご紹介を簡単にお願いします。

山岡氏: ECチャネル戦略部は、2018年7月にAmazon戦略部として立ち上がり、当初はAmazonのモール内外の広告の取り扱いをメインにメーカー様のサポートを行っておりました。

その後、「デジタルシフトによってメーカーの販売チャネルを最適化する」をミッションに掲げ、Amazonだけでなく楽天・Yahoo!ショッピングも加えた3大ECモールを中心に販促に関わる戦略立案・実行のコンサルティング部隊として、2020年8月にECチャネル戦略部に部署名を変更しました。その背景としては、メーカーの販促担当者様にとって、広告は1つの手段でしかないため、販促全般にコンサルティング範囲を拡張する必要がありました。さらにはAmazonも1つの販売チャネルであり、他チャネルを横断的に支援する必要があるため、ECチャネル戦略部としてミッションも上記の通り再定義しました。

我々がサービスを提供しているのは大手メーカー様が中心です。それらのメーカー様はこれからECに出品するフェーズではなく、既に出品している商品についてさらに販路を拡大させ、横断してマーケティングをするというフェーズです。元々、広告分野でオプトが代理店としてお取引させていだだいているメーカー様から、Amazonも支援してほしいとお声がけいただくようになってサービスを始めたという背景があり、現在のサービスをご提供するメーカー様の規模も、大手メーカー様が中心になっています。

 

―コロナの影響化でメーカーの販売チャネルに関する課題はどのように変化しましたか?

山岡氏:そもそも売り場という意味での販売チャネルのデジタルシフトは、コロナ以前から進んできています。新型コロナウイルス感染症の拡大が、その流れを加速する要素になりました。特に百貨店ブランドや普段使いの日用消費財も、デジタルで買う新しい習慣が想定よりも早く根付いてきました。

 

白數氏:その急激な変化の中で、各メーカー様もどのデジタルチャネルにどのように販売戦略を立てるべきか、いずれ本格的に考える必要があったものが、想定外に急務となり、組織体制の見直しなども含め、戦略パートナーを求められている状況です。

 

―ECモールそれぞれにどんな違いがあるとみておられますか?

山岡氏:各ECモールの使い分けの前に、まずメーカー様にとっては、自社ECサイトとECモールの使い分けという視点が重要です。

例えばECモールは集客力が高く、新規顧客獲得にとても有効ですが、一方で既存顧客にブランドファンになっていただく、ロイヤリティを高めるという点では、自社ECの方が分析・施策実行がしやすいのが現状です。すなわち、それぞれの販売チャネルをバラバラに使うのではなく、ECモールは新規の顧客が初めて商品に触れる体験の場として活用し、その後自社ECに来訪して更にブランドへの共感・関係を強めていただくために、メーカー様から直接CRM施策の実施を行うなど、各販売チャネルに役割を持たせて活用、横断的に最適化することが重要だと考えています。

 

各モールそれぞれが持つデータの強みとは?

―ECモールによってデータの違いや使い分け方はありますか?

白數氏:各ECモールで、強みとなるデータの特性があると思います。Amazonでは若年層含め幅広いユーザーデータをカバーしており、PrimeVideoなどアクティブ率の高いコンテンツを介したデータも活用できます。楽天はカードやポイントのデータと連携し、オフラインの購買情報と突合できるため、オンライン・オフライン跨いだアトリビューション分析が可能です。Yahoo!ショッピングは、ADプラットフォームとして膨大なデータを保有しており、それらデータをモール誘導広告のターゲティングとしても活用できます。

それぞれのデータの特性と、狙いたいユーザー層との相性を鑑みてターゲティングに活用し、その後のアトリビューション分析に活用することで、新規ユーザー獲得におけるモール誘導広告の可能性はさらに広がると思います。

 

―各ECモールの今後の展望と貴社の取り組みについてお聞かせください

山岡氏:ECチャネル戦略部としての取り組みの一つ目は、「チャネルを横断して最適化すること」です。各モールの出品・広告形態の違いなどを把握して、横断で出品戦略・販売戦略を描く必要があると考えています。

そしてもう一つは「データを統合して活用すること」です。今後、各ECモールにおいて、ADソリューションの発達とともに各ECプラットフォームを活用するユーザーの属性・購買に関わるデータの解放が進んでいくと想定しています。

データを起点に、自社ECとも横断でユーザーデータを分析していくことが可能になれば、オプトが今までの広告支援事業でも得意としてきた、チャネル横断でのアトリビューション分析を元にしたコンサルティングが活かせると考えています。

 

データに見出す、ECモールの今後の可能性とは?

―その他に、更にモールの拡大が加速する可能性はありますか?

白數氏:各ECモールのDSP活用の重要性がより高まります。各ECモールは広告プラットフォームも保有しているため、自分たちの1stPartyDataを誘導広告として使えます。ITPやCookie規制の影響で今後更に厳しくなる自社ECへの誘導の担保として、ECモールへの誘導広告の価値が高まってくると考えています。

また、自社ECへユーザーを誘導するコストや工数を考えても、大規模なECモールの集客力を利用し、そこから膨大なユーザーデータがメーカー様に還元される未来が来れば、メーカー様にとって最も効率的で、有益なユーザーとのコミュニケーション設計が可能になると考えています。

ECモールから得られた膨大なデータを用いてユーザーの購買行動、カスタマージャーニーを分析することで、今後のブランド戦略を検討する重要な示唆が得られることでしょう。そしてその「示唆」の提示こそ、メーカー様のパートナーとして、今後私達が担うべき役割だと思っています。

 

山岡氏:ECモールを活用することで、メーカー様として新たなサービス領域に参画するハードルを下げられることもあると思います。例えば越境EC、BtoB ECなど、自社で参入するにはインフラをはじめとして様々なハードルがあるものも、同じECプラットフォームを使えば簡単に実現できます。今後もECプラットフォーム自体のサービス領域拡大に伴って、メーカー様のサービス拡大の可能性も広がっていくと考えています。

 

 

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アフタークッキーに向けて、媒体社のこれまでと今後[インタビュー]

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2020年1月にGoogleは、Chrome上の3rd Partyクッキーのサポートを2022年までに段階的に廃止することを公表した。AppleによるITPの導入に続くこの発表により、3rd Partyクッキーを活用した広告のターゲティング配信は活用することが出来なくなる。

 

この発表をどのように受け止め、そしてこの1年でどのような将来を模索し、今後どのように向き合っていくのか。デジタル広告業界のWebサプライサイドのエキスパートにお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

(Sponsored by PubMatic)

 

 

 

-自己紹介をお願いいたします

小田切氏(上部写真 右):朝日新聞社で朝日新聞デジタルのウェブ広告ビジネス全般に携わっています。以前は朝日新聞デジタルアプリの開発やバックエンドのエンジニアをしていました。

純広告とプログラマティック広告の両方を担当しており、広告売上をどう伸ばしていくかということをミッションにしています。

 

初瀬川氏(上部写真 左):神戸新聞社で元々サーバーサイドのエンジニアをしていました。デイリースポーツオンラインや神戸新聞NEXTのサイトの保守や開発、社内CMSから記事を出稿する仕組みなどを担当していました。3年前に広告チームに配属され、プログラマティック広告を中心に、デイリースポーツオンラインや神戸新聞NEXT、2019年に立ち上げたまいどなニュースの、主に3つのサイトの広告運用を担当しています。

 

今井氏:PubMaticでアソシエイトディレクターとして、2020年の初めから当社のIdentity Solutionである Identity Hubの製品担当者の一人として、日本以外にもシンガポールやオーストラリア、インドも含むAPACのプロダクトリードをしており、プロダクトのナレッジを現場のセールスに提供するなどの活動をしております。

 

 

 

「広告は大丈夫か」、Google3rd Partyクッキー廃止発表と媒体社ビジネス

-Googleが2020年1月に発表したChromeにおける将来の3rd Partyクッキー利用廃止についての発表を受けて、どのように感じられましたか?また、どのような取り組みをこれまでしてきましたか?

小田切氏:1月の発表があったときにはまだ別のチームにいました。当時その立場にいてもGoogleによるこの発表はビジネスに大きな影響を及ぼすものであると感じました。

特にネットワーク広告に直接影響がある発表であったことに驚きました。とある調査データでは、クッキーの廃止によりネットワーク広告の売上が50%以上減少するという試算もされています。当然ですが、何らかの対策をする必要性を感じました。

発表後これまではクッキーを代替しうるソリューションにはどのようなものがあるのかという調査を進めてきました。1st Party Dataに関するものやGoogleが掲げているいくつかのプロジェクトについての検討、海外メディアによるコンテキストマッチソリューションの導入事例などについての情報収集を行いました。

IDソリューションについては、PubMaticさんのIdentity Hubを含めて導入したものもあれば、現在導入に向けて検証をしているものもあります。

 

初瀬川氏:私たちは、AppleによるITP導入時に、広告には影響がないかという話になり、クッキー規制や海外におけるGDPRの動向について調査をするように指示がありました。その後積極的にこの領域についての情報収集を行っています。そのような動きの中でのGoogleによる発表は「ついに来たか」というのが第一印象でした。

ITPの導入後、Safariブラウザからの収益額は減少傾向をたどっていましたので、Googleによる3rdPartyクッキーの廃止後、何も対策をしなければ同様の傾向をたどるということは容易に想像することが出来ました。ITPが開始された後、あるSSP経由の広告収入が半分以下に減少しました。これはSSPに依存するところではありますが、私たちにとってこの収益減は大きなインパクトがありました。当社の場合広告収入の多くをプログラマティックから得ており、このままではいけないという危機感を持ちました。

同じ頃、IAB TechLabが進めていたDigiTrust IDというIDソリューションを見つけて、これを導入するなど、早期に対応を模索し始めました。

 

 

-その後の情報のアップデートはどのように得られていたのでしょうか?

初瀬川氏: 私たちは本拠地が神戸なので、月に1度の頻度で東京に伺い、例えばスポーツ紙の方々と情報交換をしていました。2020年3月に入って以降、コロナの影響で出張を自粛せざるをえず情報交換を図ることも難しくなっています。

テレビ会議を通してGoogleの広告担当の方ともやり取りをしておりますが、直接情報を得ることは難しい状況です。今はGoogleの開発者の方が書いたブログや業界メディアの記事から情報を得ています。

 

小田切氏:当社もGoogle担当者との情報共有はございますが、情報を得ることは難しく、英語の情報サイトなどを自分たちで調べて情報のアップデートをしています。

やはりコロナの影響で、他の媒体社の方との意見交換の機会がなかなかない現状です。

 

今井氏:ちょうど1月のリリースが出た頃は、当社がIDソリューションのIdentity Hubを押し出していこうというタイミングでもありました。ですので、まさに「来たか」という印象でした。Googleの動きを予測していたわけではないのですが、2020年からの数多くのIDソリューションの登場の波に乗ったということになりました。

 

クッキーレスに向けた三つのソリューション

-きたるクッキーレスに対して、媒体社は今どのような取り組みをしているのでしょうか?

今井氏:いろいろな媒体社さんや業界の方と話をして聞いている限りでは、大きくは三つの取り組みに分かれるようです。一つ目は、「1stPartyデータの取得と整備」、二つ目は「IDソリューションの活用」そして、三つめは「コンテキスト解析ソリューション(以降、コンテキスト解析)の導入」です。

 

初瀬川氏:私たちのところでは、コンテキスト解析については解決の糸口が見えてきているような気がしています。現在、私たちは記事解析を進めていて、記事単位でワードをピックアップして、それを保持しています。あとはこれをどう広告に活かしていくかという段階にあります。また、1stPartyデータについては、何のためのデータであるのかという議論を社内でしながら、粛々と整備を進めています。IDソリューションについては、今はすべてPubMatic社にお願いをしている状況です。

 

小田切氏:その三つのうちでは、1st PartyデータとIDソリューションの二つを優先しています。自社のデータをどのように使えるかを見直していく必要があると考えております。社内におけるデータセキュリティーの管理をするのは別の部署であり、データの広告活用に向けた調整や整備が必要であり、これを進めています

当社では、朝日新聞デジタルではなく、「sippo(シッポ)」というバーティカルメディアにおいて、1st Partyデータ向けのIDソリューションを導入し、様々な効果検証を行っている途中です。これによりどこまで収益拡大につながるかを現在見ております。

コンテキスト解析は情報収集段階です。ソリューションベンダーからの提案を受けている内容などを踏まえ、当社としてどう対応するべきかを検討している段階です。

 

-現在、朝日新聞社さん、神戸新聞社さんはPubMaticのIdentity Hubを導入されています。PubMaticからどのように提案をしたのかというところから、二社が導入に至るまでの経緯をお聞きかせください。

今井氏:Identity Hubは、2020年1月にリリースをしました。これは米国の動向を踏まえてというものではあったものの、日本においては2019年の段階でDigiTrust IDや、The Trade Desk社のUnified IDに関する情報は出ていました。

ですが実際に活用されたという事例は出てきてはいない状況で、私たちのところへも質問はいただいていました。2020年2月にパブリッシャー向けの大きな業界イベントがあったのですが、3rd Partyクッキーが今後なくなるという話は大きな話題になっておらず、私たちのほうからこれは重要な問題であるということを喚起しながら、1月から3月にかけて媒体社様への提案を進めてまいりました。

同じ2月に日本では他の地域に先駆けて、Identity Hubのβ版の提供を開始し、これを導入いただいた媒体社様との検証を得て、本格的なご提案を進めてまいりました。

 

小田切氏:クッキーレスへの対応方法としてIDソリューションの導入というのは、手を付けやすいものでした。IDソリューションには様々なものがあり、それぞれを個別に導入していくとID管理が煩雑になることを課題視していました。そのようなタイミングでPubMaticさんからIdentity Hubを提案していただきました。これを導入することで、様々なIDソリューションを一つに束ねて使うことが出来、IDごとのSync率が上昇し、広告収益の改善に大きく寄与するであろうという判断のもと導入を決めました。

導入はPubMaticさんのサポートにより、大変スムーズに進みました。

 

-導入後についてはどのような評価をしていますか?

小田切氏:IDごとのSync率が上昇し、売上に対する効果が得られています。今後も積極的に色々なIDと連携をさせていただければと考えております。

 

初瀬川氏:当社はDigiTrust IDを独自に導入していました。当時の効果は不明でしたので半年も経たずに外してしまいました。その後、PubMatic社から「もう一度IDソリューションを導入してみませんか」という提案をいただき、導入を決めました。

DigiTrust IDの導入にはIABTechLabと英語で直接やり取りをする必要もありましたし、Prebidも自社ホストで行っていたことから大変な工数がかかっていたのですが、Identity Hubの導入には、そこまでの工数は不要であると聞きました。

導入についてのハードルが低いのが魅力的でしたのですぐ決断できました。導入後の効果についても、現在もPubMatic社から細かく共有していただいています。導入をしてよかったと感じています。

 

今井氏:小田切さんや初瀬川さんのように、この問題に積極的にいち早く向き合われている媒体社さんはまだほんの一部です。また、弊社のサービスを導入いただいた効果を早速感じ取っていただけていることは、私どもにとってもとても大変新鮮でありがたいことです。

まだまだ多くの媒体社さんにとって、IDソリューションというのは短期的な広告収益との兼ね合いで効果が図られていますが、より中長期的な観点で見ていただきたいということを共有させていただきつつ、引き続き提案をさせていただきたいと思っています。

またグローバルで導入している媒体社様からも、レポーティングの粒度の細かさや多くのIDソリューションをそれぞれのタグの実装だけで、あるいはOpenWrapをご利用の場合には全く実装が必要なく、管理画面だけで実装管理ができるという点において、大変良いフィードバックをいただいています。

 

プライバシー保護と媒体社ビジネスの保護、海外で起こる大きな議論

-アプリの領域でもIDFAの規制が予定されています、このような流れについてはどう感じておられますか?

初瀬川氏:当社ではアプリはすでに撤退をしており、自社で持っているのは有料電子版のアプリのみとなっておりまして、広告は入れていません。

ですので当事者意識というものはないのですが、プライバシーの規制はWebもアプリも同じ潮流なのであろうと感じています。欧米における法規制をきっかけとしたプライバシー保護の流れが日本にも来ており、両方とも垣根がなく規制の対象になってきているということに違和感はありません。

 

小田切氏:当社もアプリには広告を全く入れておらず、アプリは完全なサブスクリプションサービスです。ですのでIDFAの規制については特に調査をしてこなかったのですが、初瀬川さんがおっしゃったとおり、グローバルで今後もプライバシー保護を優先する流れになっていくのであろうと感じています。

 

今井氏:私が感じているのは、IDFAの規制はデッドラインがすぐ近くに迫っており、より緊急性の高い問題であるということです。アプリのほうではWebよりも速いペースで物事が動いていくと感じています。その意味では変化に対応することに求められるスピードは、Webよりも速いと感じています。Webの場合は、Googleは2年間の猶予期間を設けられています。ですが、Webの世界においても、企業体力があってこれから2年間でログイン情報を独自に集めていくことが出来るような大手の媒体社様と、そうではない媒体社様とで対応の差が出始めています。後者の媒体社様については、状況に対して受け身であり、他に手立てがない状況であるという声も聞かれます。

 

-海外では現在どのような議論が起こっているのでしょうか?

今井氏:ログインデータを持てない媒体社が、これまで3RD  Partyクッキーによって得ていた広告収益を担保するにあたり、どのようなソリューションが提供されるべきかというところが大きいです。いったい誰がその部分の収益を補完していくかということは、業界で大きな注目を集めています。

GoogleやCriteoなどのプラットフォーマーやベンダー、あるいはIAB, W3Cなどの第三者機関がその対応を進めており、2021年の前半には、今後の方向性が見えてくると当社では見ています。

 

アフタークッキーに向けて、媒体社が期待する情報とは

-Identity Hubを導入されたお二方は、今後PubMaticにどのようなサポートを期待しますか?

小田切氏:今後は他のIDソリューションの導入を進めており、これらとの連携のサポートや、2021年の本格的なクッキーレス対応に向けて、スピード感を持って取り組んでいく予定ですので、これに寄り添ったサポートをしていただけることを期待しています。

 

初瀬川氏:海外トレンドのキャッチアップにおいて、ぜひとも情報共有によるサポートをしていただきたいです。新しいIDが出たときには、私たちも率先してこれに取り組んでいきたいと思っています。引き続きお力添えをお願いしたいところです。

 

今井氏:全力で取り組ませていただきたいと考えています。Identity Hubは2021年に向けて当社における注力領域の一つです。このソリューションは提供を開始して以降9カ月で、グローバルで多くの企業に導入していただきました。当社のプロダクトラインナップでも非常に成功しているものです。今後もより多くの媒体社様に使っていただくことで、業界全体の方向性に寄与できるように、取り組んでまいります。

海外のトレンド情報の共有については、非常に多くのご要望をいただいております。この領域は日々刻々と変化しています。できるだけ適切なタイミングで情報をご提供し、この変化に業界全体で適用していければと思っております。

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ぴあが先駆ける、データドリブンな広告ビジネスの次の一手 [インタビュー]

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国内最大規模のチケット販売サービスを提供するぴあは、その事業特性にもよるところから、詳細な会員登録情報にとどまらず、ライブエンタメ分野における膨大なチケット販売情報を保有しているという、来るクッキーレス時代に対応する現状においては、非常に優位な環境にある媒体社である。

既にDSPやDMPを持ち、プログラマティックな広告ビジネスを展開している同社が、次にどのような手を打とうとしているのか。

現在同社はPubMaticが提供するオーディエンスデータプラットフォームの導入に向けた準備を進めているが、そこに至った戦略的な背景や今後の取り組みなどについて、ぴあ株式会社 デジタルメディア・サービス事業局 データマーケティング&ソリューション推進室 チーフプロデューサー 市川雅仁氏、同 デジタルメディア・サービス事業局 データマーケティング&ソリューション推進室 兼 営業推進部 廣瀬 仁氏、そして、パブマティック株式会社 カントリーマネージャー廣瀬 道輝氏に、お話を伺った。

 

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(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

 

 

国内最大規模のエンタメDMP

―まずは自己紹介をお願いいたします

廣瀬 仁氏(ぴあ):私は、大手IT企業の媒体社部門を経て、2020年4月からぴあに参画しました。主な業務内容はアドテクを用いたウェブメディアの収益化です。

 

市川氏(ぴあ):私はPIA DMPというデータソリューションを一から立ち上げました。データ周りの戦略やプロダクト周りの開発責任者をしています。

 

廣瀬 道輝氏(PubMatic):PubMaticに入社して7年目となりますが、この間広告を取り巻く環境が大きく変化してきており、とてもエキサイティングな環境に身を置いています。

 

-ぴあの広告・データビジネスの変遷と概要について、改めてお聞かせください

 市川氏(ぴあ):データの有効活用に目を付けたのはちょうど5年ほど前です。それまでは一媒体社として、サイト内のトラフィックをマネタイズするということに注力してきましたが、この頃より当社のチケットサービスでの会員データ、購買データなどを広告やデータソリューションに生かすことが出来ないかと計画し、データを集め始めました。

またデータを自社サイト内だけではなく、外部のサイトも活用しようということで、DMPとDSPのテストを開始し、その2年後の2017年にPIA DMPやPIA DSPの提供を開始、その後DMPを活用したソリューションビジネスの展開も本格化させてきました。

 

ここ2-3年でデータプロバイダーとの連携が10以上に増え、いろいろなところで当社のデータを使っていただけるようになりました。現在ではほぼ全ての大手広告代理店と連携をしていますし、DSP事業者とも戦略的に連携を進めています。

 

-PIA DMPの概要とお取組みについてもお聞かせください

市川氏(ぴあ):PIA DMPは、国内最大級のライブエンタメのデータを活用することが出来るDMPです。今年3月現在で1750万人超の会員登録情報と、年間約7500万枚以上のチケット販売情報を保有しています。エンタメに熱狂する1750万人のファンの趣味嗜好についてのデータを活用することが出来るということは、大きな特徴です。当社と提携するパートナーのデータも格納して、さまざまな施策に活用しています。

 

当社では保有しているデータを大きく3つのセグメントに分けて定義しています。一つ目はいつでも利用できるEssential、二つ目は季節性の高いセグメントであるUpward、そして三つ目は、完全にカスタマイズしたTailoredです。

このうち、例えばUpwardとしては、コロナ禍でオンラインライブがかなり増えてきており、これをセグメント化しております。

 

常時揃えているセグメントは、150程度。性別や1歳刻みでの年齢情報、居住地などの登録されている会員属性情報、ライブやスポーツ、演劇、アイドル・アニメなど20万に及ぶアーティストのチケット購買履歴、あるいは開催地情報や日時などもチケット購買に紐づく情報もすべてパラメーターとすることが出来ます。

 

お客様にはこれらのデータを使い、連携するDSPやSNSもしくはデータプロバイダーを通じた広告配信をしたり、ターゲット分析やメディアのパーソナライズなどに活用をしていただいています。

 

 

データドリブンな媒体社ビジネスのパートナー、選定の三つの理由

-今回PubMaticのAudience Encoreの導入を決めた理由についてお聞かせください。

廣瀬 仁氏(ぴあ):もともとの経緯はPubMaticの廣瀬さんとは前職でのお付き合いもあったのですが、理由は大きく三つありました。一つ目はPubMaticさんが持つ外資系商流を増やしたかったということ。今まで当社がお付き合いしてこなかった広告主にもデータを活用いただけるのではないかと期待をしております。

 

二つ目はPubMaticさんと、データビジネスにおいて、多くのことをご一緒させていただけると期待していること。PubMaticさんは、数あるIDソリューションのハブとなるIdentity Hubをリリースされるなど、サード・パーティー・クッキーの利用制限に関する対応もされていますし、ゼロ・パーティー・データやファースト・パーティー・データの活用を促進していくための取り組みもご一緒させていただけるのではないかと思いました。

 

三つ目は、当社はPIANO社のDMPを活用しているのですが、PIANO社とPubMaticさんとのデータ連携が既に出来ているので、新規の開発が不要であったことです。

 

-Audience Encoreを市場に投入した背景について教えてください。

廣瀬 道輝氏(PubMatic):日本ではまだ主流ではありませんが、グローバルではサプライサイドがバイヤーサイドに直接働きかける動きが活発化しています。その中の一つで、現在トレンドとなっているものに、SPO (Supply Path Optimization) があります。

SPOの詳細はここでは割愛しますが、海外の大手広告代理店は取引する事業者数を統合していく潮流にあるため、SSPである当社がバイサイドである広告主や広告代理店、DSPと直接コミュニケーションを図り、デマンド側にROIを高める提案をすることでPubMaticの独自商流を作っていくという戦略です。

当社とグローバル大手広告代理店との契約の一環で、日本でも適用されている広告主、広告代理店もいます。グローバルな広告主はデータを活用したバイイングを好みますが、日本でも同じような商流環境を当社としてもご用意するために、Audience Encoreをご紹介しております。

Audience Encoreは、ぴあさんのようなファースト・パーティー・データをお持ちの媒体社様と直接接続させていただくことで、バイサイドに対して、セグメントをされたユーザーがどのくらいいるのかを可視化することが出来ます。さらにそのユーザーに対して、ぴあさんのような、データオーナーがセグメントごとに価格付けができるようになります。

そして、バイヤーである広告主や広告代理店は、このセグメントを使い、PMPでDeal IDを通してバイイングをすることが出来るようになります。

基本的には、オーディエンスデータを持っている媒体社様に、PubMaticが持っている広告在庫を結合させて可視化するというものになりますので、これまでのメディア収益にプラスしてデータ収益も期待できます。また当社に接続するセグメントは任意であり、また提供範囲もコントロールできます。

日本における当社のAudience Encoreを導入は、ぴあさんが初めてのケースになります。ぴあさんのデータは、バイサイドから要望されやすい特性を持っています。例えば消費財や嗜好品を提供しているグローバルの大手広告主の場合、デモグラフィックを気にされるケースが多く、ぴあさんが持つデータはまさに適しています。また、日本では誰もが知っているエンタメサイトであり、ユーザーのクオリティーも高いという評価が定着しています。そして既に多くの広告代理店との取引実績もお持ちです。

 

 

アライアンスを進め、データ×広告ビジネスを加速

-今回の取り組みにおいて、ぴあさんはどのようなことを今後期待されますか?

廣瀬 仁氏(ぴあ):先ほども触れましたが、今まで実績がなかった広告主様とのお取引を広げていくということと、今話題になっているサード・パーティー・データ利用制限の代替案としてのファースト・パーティー・データの活用や、その価値を高められる取り組みが出来ればと思っています。

通常PMPを作る場合、媒体社の広告在庫とオーディエンスデータで構築するというものです。今回の取り組みではセグメントを当社から提供しましたが、広告在庫自体は、当社以外のものも活用することが出来ます。これによりPMPの拡販に大きく貢献できるのではないかと期待しており、今後注力してまいります。

 

市川氏(ぴあ):提供するデータは、今後は提携パートナー企業のデータも当社のDMPに集積させていくという戦略も立てています。一部のパートナー企業とは、データだけではなく、広告の配信面も一緒に作っていこうという取り組みを志向しています。

データ、広告、そしてチケット販売を掛け合わせたビジネスを一緒に展開していこうという話し合いをしているところです。

 これまでさまざまな事業者さんとのデータアライアンスをさせていただいたことで感じたことは、当社のデータが、どのような広告主と相性がよく、また当社にとっても高い収益性をもたらし得るのかということが見えてきたことであり、媒体社としてデータ×広告ビジネスを行っていくうえで大変大きな収穫であり、今後のビジネスにも活かしてまいります。

 

 

SSPならではの役割でプログラマティック取引を拡大

-PubMaticは、今回のぴあさんとの提携を受けて、今後データビジネスをどのように展開していきたいと考えていますか?

廣瀬 道輝氏(PubMatic):オーディエンスデータの質はもちろんボリュームを確保していく必要があります。セグメントはすればするほどボリュームが少なくなっていきます。バイヤー向けに、ボリュームが確保できるセグメントをどんどんと増やしていきたいと考えています。

ファースト・パーティー・データを持っていらっしゃる媒体社様との接続を進めていきたいと思っています。

このような取り組みは、SSPであるからこそできることであると考えています。通常バイサイドは、オーディエンスデータをDSPと接続させて活用するケースが多かったと思います。ただ、複数のDSPを使用して同様のことをしようとすると、複雑ですし工数も必要です。またDSP,SSP間のシンクロスも見逃せません。あらかじめ多数のセグメントをSSP上で用意出来ていれば、広告主や広告代理店も効率的に買いやすいはずです。このようなプラットフォームを提供することで、新たなプログラマティック取引の場を増やしていくことが出来ればいいと思います。

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Twitterが語る、コロナ禍の動画プロモーションで大切なこと[インタビュー]

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コロナ禍で広告主の動画広告の活用はどのように変わったのか。

大きく変化した2020年の動画広告市場の動向や、Twitter広告の最新アップデートと合わせて、Twitter Japan株式会社 執行役員 広告事業本部長 松山 歩 氏にお話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

2020年の動画プロモーション需要の変化

-2020年1年を振り返って、動画広告の需要の動向をお聞かせください

新型コロナウイルス感染拡大により、ユーザーはこれまでよりも迅速な情報収集に対する欲求が高まったと分析しています。Twitterのような即時性の高いコンテンツの利用頻度は上がり、その結果ユーザー数も非常に伸び、7-9月期の日別のアクティブユーザー数(mDAU)は1億8700万人、前年対比で29%増。

滞在時間も伸びるなか、Twitter広告の価値もまた非常に高まったと感じています。

当社の広告ビジネスは、緊急事態宣言が出たときには影響が出たものの、回復は非常に早く、7-9月期は動画広告も前年比ベースを回復しました。

 

4-6月に広告出稿が減少または停止したのは、緊急事態宣言によりビジネスが停止してしまった映画館や飲食店、百貨店の関連商材、またオフィスが閉鎖されて売上に影響が出たコンビニ商材を提供する飲料メーカーなどです。逆に、広告出稿が伸びたのはゲームやVODなどのエンタメコンテンツ、家庭向け食材を提供する食品メーカーなどがあげられます。

この時期、自宅で料理をする人が増えたことから、料理に関するツイートがとても増えました。これにより調味料メーカーさんなどの広告出稿が大きく伸びたんですね。

 

振り返ってみると、やはり外で消費される商品やサービスを提供する広告主の出稿は減少しましたが、自宅で消費されるものを提供する広告主の出稿への影響はほとんどありませんでした。

 

当社の事業を通して広告主の出稿動向を見る限りにおいては、2020年年間を通して、動画広告市場全体が前年を下回ることはないのではないかとみています。

 

 

動画プロモーション、進む実施サイクルの短期化と目的の多様化

-コロナ禍で広告主の動きに印象的な変化はありましたか?

まず、コロナ禍でユーザーのツイートにおいて印象的な変化がみられました。ツイートにおいて「いつ」という言葉がとても増えたのです。これは例えば「いつになったら旅行に行けるのか」、「いつになったら飲み会をしていいのか」というようなものです。

このような、生活者の心の変化としてのユーザーの声を、広告主はいち早くキャッチして広告クリエイティブに対応するなど、PDCAを回すサイクルが速くなりました。これはコロナ禍における広告主の広告の使い方にみられた大きな変化です。

 

また、最近広告主の皆様がおっしゃるのが、広告コミュニケーションのタイムラインが短くなってきていることです。このコロナ禍では2カ月で世の中が変わってしまいます。生活者がどのような気持ちなのか、世の中がどのような空気なのかということにしっかりと合わせたキャンペーンを行っていく必要があります。だからこそ、Twitterでしっかりとユーザーの声を聴いて、世の中の空気を把握しながら、そこに合わせたクリエイティブやコピーを考えて、それをできるだけ短い期間で制作して短い期間で掲載をしていくことが求められます。

 

-Twitter広告の売り上げに占める動画広告の比率は今年も昨年と比べて上昇していますか?

はい、引き続き比率は高くなっています。アプリインストールの促進やトラフィックの流入、エンゲージメントの拡大などあらゆる目的において、クリエイティブの素材は動画が増えています。

動画素材は、キャンペーン認知を高めるという目的で使われることが多いです。ですがその活用の幅は広がっています。私たちがキャンペーン型と呼んでいる「フォロー&リツイートキャンペーン」での活用、またコンバージョンレートや会話量を増やすための「カルーセル広告」「カンバセーショナルカード」というプロダクトでの活用などです。ユーザーの反応率を上げていくために、動画素材の利用がさらに進んでいます。

 

-エージェンシー側の取り組みとして何か変化はありますか

エージェンシーさんとは様々な領域で取り組みが深まった1年です。今年は広告代理店のクリエイターの方々に対して、Twitterの使い方や、どうキャンペーン全体のクリエイティブとTwitterを組み合わせるべきかという観点でご提案をさせていただく機会が増えました。

Twitterでいかにユーザーや生活者を巻き込んでどう話題化するべきかという観点で、クリエイターの方とお話する機会が非常に増えたんです。

 

 

Twitter広告プロダクトの3つのアップデート

-Twitterの広告プロダクト周りのアップデートについてお聞かせください

今年のアップデートは、大きくは3つあります。

一つ目は、Twitterの新たなメインプロダクトとして、プロモトレンドスポットライトという、従来のプロモトレンドを増強させた、新しいプロダクトを提供開始したことです。具体的にはリーチ速度×インパクトを最大化させるソリューションです。従来のプロモトレンド枠の上の画像枠を、1日1社限定で使用できるというものです。フリークエンシーが1日1ユーザー当たり2回となります。新しい商品やキャンペーンの短期間での認知獲得に対して最強のプロダクトです。

当社としては、今後はプロモトレンドスポットライトを、当社の数ある広告プロダクトの中でも最も定番として位置付けたいと考えています。

もう一つ、幅広いリーチを獲得するプロダクトとして、ファーストビューがあります。両広告商品とも、2千万円規模の価格帯のものですが、お陰様でこのコロナ禍においてもほぼ滿稿状態が続いています。いずれの商品とも、広告素材はほぼ動画をお使いいただいています。

二つ目は、今年の後半から動画広告の課金形態を多様化したことです。これまで2秒50%(広告表示時間2秒、画面表示が全体の50%以上)に対して課金をしてきましたが、6秒50%課金を導入しました。目的に応じて課金タイプをうまく使い分けていただきたいと考えたのです。リーチの最大化を図るのであれば、2秒(50%)課金、視聴完了数の最大化を目指すのであれば6秒(50%)課金とするなど、それぞれをうまく使い分けていただきたいと考えています。

三つ目は、カルーセル広告をお使いいただけるようになったことです。広告ツイートに2~6つまで複数の画像や動画を設定していただくことが出来るようになりました。カルーセルの導入により、クリック率やインストール率が大きく上昇するという調査結果も出ています。カルーセル広告をお使いいただき、ブランドのストーリーをよりリッチに訴求したり、パフォーマンスの改善に活用していただいています。

 

 

大きく変わる市場、2021年を見据えて

-IDFAの利用規制についてどのように見ておられますか?

ユーザーのプライバシーを守っていくということは大変重要なことです。その前提でAppleさんが提唱する新しい方向性に私たちも準拠していくことになります。IDFAの制限に伴いSKAdNetworkの利用を促していくというのがAppleさんの方針であると認識していますが、当社としてもここへの対応をいち早く行っています。

今後はこれまでよりもデバイスごとへのターゲティングの精度に影響は出てくるかもしれませんが、当社としては可能な限り、広告主の皆様からTwitter広告のパフォーマンスの評価をしていただけるように務めてまいりたいと考えております。

 

-2021年の動画広告市場をどのように見ておられますか?

2020年は非常に大きな変化がありましたが、2021年は動画広告市場も当社もまた大きな成長軌道を描く1年になると思っております。

広告主の皆さまも、このような社会状況においてどのように対応すべきかということについてのノウハウや知見を蓄積されています。当社としては、どのようなときでもユーザーのためにコミュニケーションを継続すべきであるということをお伝えしつつ、その時々のユーザーの気持ちに寄り添ったコミュニケーションをご提案していきたいと考えています。

 

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キーパーソンがみた、デジタル広告業界の2020年と2021年

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デジタル広告業界の関係者にとって、2020年のデジタル広告業界は、広告主、広告会社、アドテク企業、媒体社それぞれにとってどのような年だったのか。

長年にわたり、デジタル広告業界を俯瞰して見続けてきた、ネクスジェンデジタル株式会社 代表取締役社長 兼 SMN株式会社 アドテクノロジー事業 執行役員 谷本 秀吉氏に2021年の展望とともに、お話を伺った。

 

(聞き手:ExcangeWireJAPAN 野下 智之)

 

それぞれの立ち位置からみた、2020年

2020年にデジタル広告市場では、大きくどのようなことが話題になりましたか? またそれが広告主、広告会社、アドテク企業、媒体社それぞれのビジネスにどのような影響を及ぼしましたか?

デジタル広告業界全体においては新型コロナの影響を大きく受けました。全体としてみると、やはりマイナス影響の方が大きかったでしょう。

昨年4月の政府による緊急事態宣言後、人々の暮らしは自粛に伴い日々の行動が大きく抑制されることになりました。その結果経済活動が停滞しました。

いわゆる巣ごもり消費により追い風となった業種もありましたが、店舗や対面で商品やサービスを提供する業種における消費の多くは減速した傾向が多く見られました。

 

広告主は、足元の売上を確保するために必要な販売促進費はそのまま維持するというケースもありましたが、中長期を見通して投資されるような広告宣伝費については凍結するといった動きが数多く見られました。

 

このような環境下にあって、広告会社は新規顧客の取引拡大に苦戦したように見受けられました。

緊急事態宣言下においては、まずは新規のアポイントを取ることですら苦戦しました。広告主企業の担当者の方に話を聞くと、コロナ禍ではやはり新規との商談は控えるようにしていたようです。

 

例年は新規の顧客開拓において有効なタッチポイントである、リアルの場で開催される広告業界関係者向けイベントも軒並み中止となりました。広告会社の営業職の方は、会社の目標に新規獲得の目標を持っていることも多いでしょうから、恐らくは大変苦戦されたのではないかと思います。

 

その後、業界の空気も変わり、ウェビナーの開催や、ビデオ会議による新規商談が活発に行われるようになり、特に夏以降はコロナ禍でも工夫をしてビジネスを動かしていこうという機運が高まっていきました。

 

アドテク企業にとっての2020年は、新型コロナもさることながら、3rd Party Cookie やIDFA利用規制の話題に終始した1年でした。Google Chrome の3rd Party Cookie の2022年以降の利用停止を予告する発表や、9月に発表されたAppleのiOS14の大幅アップデートによる、iPhone上の3rd Party Cookieの有効期限の短縮化を、以前までのApple製ブラウザSafariに限らず、Chromeなどのアプリ上で起動するその他のブラウザにも有効制限を適用する動きは、広告ターゲティングの在庫数の目減りや効果計測にも大きな影響をもたらしました。

そして今年はIDFA自体もユーザーに都度利用許諾を取る、オプトイン型への変更が予定されており、Web領域に限らず、アプリ領域にも変化への対応は引き続き余儀なくされています。

 

媒体社の広告ビジネスについては、やはり新型コロナの影響がマイナスの影響を及ぼしました。プログラマティック広告の収益効率を見る指標としては、RPM(Revenue Per Mille)とARPU(Active Revenue Per User)が代表的ですが、新型コロナの影響により両指標とも低下しているという当事者の方々の声を多く聞きます。

コロナ禍では、媒体のimp数は全体的に上がる傾向がみられました。その一方で、広告主の出稿が全体として減少したことで、オークションプレッシャーが弱まり、取引単価はそれまでよりも2~3割ダウンしました。これにより媒体社の収益効率が下がったのです。

 

一方で、Google、Facebook の2020年7-9月の決算を見ると、広告収益は回復基調に向かいつつあります。

Alphabetが公表しているIR資料において、Googleの四半期広告収益を紐解いてみると4-6月期は−8.2%であったのに対し、7-9月期は+14%。特に7-9月期のYouTubeの収益は、前年対比で+32%と大きな伸びを見せました。Facebookは、4-6月期の+11%から、7-9月期には+22%となり、両社とも一時的な成長停滞から脱却しています。今後は業界全体の単価水準も回復していくことでしょう。

 

(データ引用元)

Alphabet 2020 7-9月決算資料

https://abc.xyz/investor/static/pdf/2020Q3_alphabet_earnings_release.pdf?cache=514fb58

 

Facebook 2020 7-9月決算資料

https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/2020/q3/FB-Q3-2020-Earnings-Presentation.pdf

 

 

コロナ禍でも三方よしを目指すことこそが発展への道筋

2021年、デジタル広告業界関係者は、市場のどのような潮流を見定めてビジネスをしていくことが求められますか?

2021年は、デジタル広告業界は、これまで依存してきた施策から切り替えて、新たな施策に可能性を見出す年となるでしょう。

3rd Party Cookie の利用制限という流れは、もはや不可逆的なことです。日本で昨年6月に可決された個人情報保護法の改正案は、2年以内の施行が予定されています。

 

(個人情報保護法改正案について)

https://www.ppc.go.jp/news/press/2020/200612/

 

そして、話題の中心は、「データ利活用のあり方」でしょう。マーケティングにおけるデータの利活用のあり方の輪郭が定まるはずです。従来通り残る施策と、消えゆく施策とが選別されると同時に、新たな施策へ何らかの可能性を掴む動きが活性化するでしょう。

 

そして、決して忘れてはならないのは業界の健全性についてです。2020年12月に業界3団体(日本アドバタイザーズ協会、日本広告業協会、日本インタラクティブ協会)による設立が発表された「JICDAQ」は、アドフラウドやブランドセーフティなど、業界の大きな課題を解消していくために、とても重要な取り組みです。業界全体で、このような取り組みを支えていくことが求められます。

 

(関連リリース)

https://www.jiaa.org/wp-content/uploads/2020/11/20201201_jicdaq_release.pdf

 

2021年も引き続き、テクノロジーの進歩やデータ活用の可能性に恩恵を受けつつも、ユーザー、広告主企業、広告業界に所属する企業にとって、三方良しであることが今後の業界発展において不可欠な観点であると思います。

 

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オファーウォールの進化論―Tapjoyがオファーウォール広告にこだわり続ける理由

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アプリの広告マネタイズ手法の一つであるオファーウォール広告は、直近 3年間で大きな進化を遂げ、北米や欧州などでは定番手法となった。日本でも採用が拡大し、今やゲームやマンガアプリに必須の広告フォーマットとなりつつある。この分野で先進的な取り組みを行ってきたTapjoyに、これまでの経緯や今後の進化などについて聞いた。
(聞き手:ExchangeWire Japan長野雅俊)

 

海外デマンドとカスタマーサポートに強み

 

―自己紹介をお願いします。

 

Tapjoyの日本法人であるタップジョイ・ジャパン株式会社の代表取締役を務める村上雅一と申します。NTTドコモ、ノキア、ファーウェイといったモバイル企業を渡り歩き、2012年に1人目の社員としてタップジョイ・ジャパンに入社。4年前からアジア地域のメディア担当責任者を、そして1年前から日本法人の代表を兼任しています。

 

―貴社の事業紹介をお願いします。

 

2007年にアドネットワークとして米国のサンフランシスコで創業した当社は、リワード広告の一種であるオファーウォール広告に最大の強みを持っています。アプリストアのランキングをゆがめるなどの理由でリワード広告に対して批判的な見方が示された時期もありましたが、当社はこの課題と真摯に向き合い、GoogleやApple社のポリシーにきちんと準拠した仕組みを整備。当社ほどオファーウォール広告への注力姿勢を鮮明にしたアドネットワークは他にないと自負しています。

 

今でも毎年20%前後の成長を続けており、事業規模は日本法人の立ち上げ時の20倍にまで拡大しました。グローバル全体では社員が約200名、日本法人には10名が勤務しています。

 

―オファーウォール広告商品を持つアドネットワークは他にも存在します。どのように差別化を図っていますか。

 

オファーウォール広告の販売や導入支援においては国内事業者と競合することが多いのですが、このような市場環境においては、当社がグローバル企業であるということが大きな差別化要因となります。

 

とりわけ近年では、日本市場向けに広告を出稿する海外のアプリデベロッパーが急増中です。つまり日本の媒体社にとっては、海外の広告主にどれだけアクセスできるかが広告収益拡大の鍵です。海外デマンドを豊富に有する当社のアドネットワークに日本の媒体社が多数連携することで広告のパフォーマンスが高くなり、さらに多くの広告主が集まるという好循環を生み出すことができています。

 

―それでは、グローバル展開を行うアドネットワークとしての差別化はどのように図っていますか。

 

やはりオファーウォール広告に関する知見の深さと豊富さでは群を抜いていると思います。競合他社でも取り扱っているオファーウォール広告商品は一見同じように見えるかもしれませんが、広告主や媒体主にとってのパフォーマンスを上げるための、ユーザーからは目に見えないプロダクト機能がTapjoyのオファーウォールの強さを生み出しています。どの広告をどのユーザーにどのような順位で掲載するかを判断するアルゴリズムや、ターゲティング機能などがその一例です。

 

また、オファーウォール広告を運営する上では、カスタマーサポート体制の整備が重要です。リワードの提供に際して苦情やトラブルが発生した際に、迅速で適切な対応が取れるか否かがユーザーの満足度を左右します。

 

当社ではこのカスタマーサポート体制の拡充のために過去数年間で相当な投資をしました。日本ではあまり認知されていない制度ではありますが、カスタマーサポート満足度を格付けするBetter Business Bureauという機関の評価では最高点となるA+を取得しています。

 

業界初のマルチリワードCPE広告とは

 

―貴社では業界初となるマルチリワードCPE広告を提供しています。その概要をご説明いただけますか。

 

アプリ広告市場の黎明期は主にインストール数が広告の成果を評価するKPIとして用いられていましたが、市場が成熟するにつれて広告投資回収率(ROAS)が重視されるようになりました。この動きに伴い、インストール課金型のCPI広告ではなく、チュートリアルをクリアするといった一定のエンゲージメントが確認された時点で広告費が発生するCPE広告の普及が進みました。

 

そして近年では、「チュートリアル終了」といった浅いレベルではなく、「レベル30到達」といったかなり深いレベルでのエンゲージメントと連動したCPE広告が求められるようになりました。ただし、実際にはレベル30に到達する前に多くのユーザーは離脱してしまいます。また広告主も媒体社もレベル30に到達するまで広告費や広告収益が発生しないので、事業の見通しが立てづらいなどの課題がありました。

 

そこで当社では、レベル30に到達するまでのいくつかの段階で小刻みにリワードを還元するマルチリワードCPEという広告商品を開発したのです。この仕組みを実現するためには、AdjustやAppsFlyerといったモバイル測定パートナー(MMP)と連携した上でデータを駆使する必要があり、グローバル展開を通じてこれらMMPと接続済みの当社の優位性を発揮できる広告商品となっています。

 

―オファーウォール広告市場の概況についてのご見解をお聞かせください。

 

アプリのライフサイクルが伸びてきたことに伴い、どのアプリデベロッパーも新たな収益源と収益向上策を常に追い求めています。この動きの一環として、アプリ内課金モデルを採用するアプリが、課金以外のマネタイズ手法として広告収益モデルを併用する例が増えてきました。アプリ市場自体は既にかなり成熟してきた感がありますが、アプリ広告市場は今後もまだまだ拡大していく見通しです。

 

広告枠を新設する場合、動画広告やバナー広告をとりあえず試すということが多いように見受けられますが、オファーウォール広告はユーザー体験の向上にも寄与する唯一無二の広告プロダクトです。そして、オファーウォール広告を提供する事業者が比較的少なく、プロダクト開発や研鑽に多大な投資を行う事業者はさらに少ない。現時点ではアプリ広告市場の拡大と当社の業績拡大が密接に連動していると認識しています。

 

またこれはオファーウォール広告の話ではないのですが、当社では約2年前から動画広告においてアプリ内ビディングへの対応を開始しました。日本市場では1年ほど前からビディング対応するデベロッパーやメディエーションプラットフォームが増えており、この動きは今後1年でさらに加速していくと思います。

 

日中の成長スピードの違い

 

―グローバル市場と日本市場ではどのような違いがあると感じていますか。

 

正直なところ、日本とそれ以外の市場でそれほど大きな違いがあるとは思いません。あえて言うと、広告予算の取り方に違いが出るときがあります。例えば中国の一般的な広告主は、広告投資回収率(ROAS)が合う限りは、上限なくユーザー獲得予算を投じます。一方で日本の広告主は月なり期ごとに予め一定の広告予算が決まっていて、広告のパフォーマンスがどれほど良くても、予算を消化してしまったら次の月なり期まで待たなければ追加の予算申請ができない。その結果、前者と後者では事業の成長スピードに大きな開きが出てしまうという例が見られます。

 

―アプリ広告市場ではIDFA取得に際してのオプトイン義務付けが話題を集めています。貴社事業に対してはどのような影響があると見込んでいますか。

 

ユーザーIDデータを最大限に活用するパフォーマンス型広告には悪影響が出ると予測されています。ただ当社のオファーウォール広告は、iOSに関しては以前からAppleのポリシーへの準拠を目的としていわゆるアプリ広告を扱っていません。大きな収益源はウェブ上のコンバージョンに対して課金するCPA広告であり、広告IDがなくても広告トラッキングをすることが可能です。よってIDFA取得に際してのオプトイン義務付けによる当社事業への影響は極めて限定的になると見込んでいます。

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グループを超え、広告主と広告会社のデジタルマーケティングのDXを支援[インタビュー]

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セプテーニグループは、今年1月に組織改編を実施した。新たに中間持株会社である株式会社セプテーニ・データ・ソリューションズを設立し、その傘下にトライコーン、ミロゴス、セプテーニ・オリジナル、SEPTENI TECHNOLOGYの4社を置くこととなった。

また同時にセプテーニ・オリジナルの社名をFLINTERS(読み:フリンターズ)に変更した。(※SEPTENITECHNOLOGYの社名もFLINTERS VIETNAM(読み:フリンターズ ベトナム)に変更予定)

今回の組織改編の経緯や新会社FLINTERSが取り組んでいこうとしていることについて、新設される中間持株会社セプテーニ・データ・ソリューションズの代表でありFLINTERS代表取締役社長でもある 武藤 政之氏、シニアマネージャー 荒井 悠氏、シニアマネージャー  関 航一郎氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

 

 

-自己紹介をお願いいたします。

 

武藤氏:2001年にセプテーニに入社し、現在はセプテーニ・ホールディングスのグループ執行役員として、大きく2つの役割を担っています。1つ目は、データソリューション領域を担当しておりセプテーニ・データ・ソリューションズおよびFLINTERSの代表取締役社長をしています。そして2つ目がセプテーニ及び電通デジタルの取締役として、電通グループとの協業推進を担当しています。両社における人材の交流や、オンオフ統合提案、セプテーニグループで培ってきた開発リソースを電通デジタルに提供したり、クリエイティブ領域での連携を推進するための仕組み作りなどを行っています。

 

荒井氏:2010年にセプテーニに新卒入社し、一貫して事業開発・システム開発に従事してきました。広告・マーケティングの開発部門全般を担当しており、セプテーニおよび電通グループとの共同開発の責任者をしています。また、培ってきたノウハウをうまくプロダクト化して、広く展開していくSaaS事業も管轄しています。

 

関氏:エンジニアとしてセプテーニ・オリジナルに2015年に参加しました。エンジニアを経て企画のプロダクトマネジメントを行ってまいりました。ソリューションの外販を強化するにあたり、データソリューション事業の責任者をしています。

 

 

グループの事業ドメインを拡張

-セプテーニグループの組織改編これまでの経緯についてお聞かせください

武藤氏:セプテーニグループでは中期計画において事業ドメインの拡張を掲げており広告代理事業を補完するDXのデータソリューション領域に取り組んでいく必要があります。

そこで、この領域を担ってきた4つのグループ企業を統括する中間持株会社(=株式会社セプテーニ・データ・ソリューションズ)を設立し、広告代理事業以外の経営資源を集約することによって事業を加速させることになりました。

 

そこで、セプテーニ・オリジナルとSEPTENI TECHNOLOGYという、これまではセプテーニグループのための開発を行ってきた子会社を、外部向けサービスを行うプロフィットセンターに転換することにしました。社名からは広告代理店色の強い「セプテーニ」という看板をあえて下ろして、FLINTERSとすることになりました。

 

 

-FLINTERSの概要についてお聞かせください

武藤氏:FLINTERSはもともと株式会社セプテーニの開発部門でしたが、2013年にオフショア開発拠点としてハノイにSEPTENI TECHNOLOGY CO.,LTD.を設立、2014年に国内にも優秀なエンジニアが集まり活躍しやすい環境を整備するために株式会社セプテーニ・オリジナルを設立してグループ内のサービス開発をおこなっていました。

今回の再編を機に、「FLINT=火打ち石」を由来として、株式会社FLINTERSとFLINTERS VIETNAM に商号変更をして、グループ外企業にもDX支援してまいります。

 

 

FLINTERSが持つ、3つの強み

-デジタルマーケティング業界向けに、どのようなサービスを提供していくのでしょうか?そのサービスにおいて貴社の強みはどこにあるとお考えですか?

武藤氏:お客様のデジタルマーケティング領域におけるDX促進を目的に、SaaS事業とデータを活用した4つのソリューションとして人を軸としたサービス展開をしていきます。具体的にはそれぞれ以下のようなものになります。

 

1.SaaS事業

・CRALY https://service.craly.jp

・Flinters Data Hub   https://www.flinters.co.jp/service/#bge-fdh

 

 

2.データソリューション事業 https://dx.flinters.co.jp

・データ活用支援

・広告効果最大化

・エンジニア支援

・コンテンツ構築支援

 

SaaS事業はサブスクリプションモデルで、データソリューションに関しては、都度見積りでサービスを提供しています。

 

当社の強みは、大きく3つあります。一つ目は、各種主要広告プラットフォーマーの認定パートナーであるということです。広告プラットフォーマーのAPIに関する知識、対応スピード、関連するシステムの開発品質など、これまでの経験からお客様に提案できることは多いと考えております。またプラットフォーマーからの認定をいただいているからこそ提供できることもございます。

 

二つ目は、セプテーニグループの開発部門を担ってきた事で再現性の高い開発実績があるということ。セプテーニには20年ほどに亘り蓄積されてきたデジタルマーケティングのノウハウがあり、これをシステム化したものは私たちがターゲットとするお客様に活かしていただけるのではないかと考えております。

 

三つ目はデジタルマーケティングに強い開発組織を持っているという点です。国内外に約200名の人材がおり、これも大きな強みです。これまでの経験から学習コストが低く、人材が国内外にいることで、価格競争力も付けることが出来ます。日本とベトナムそれぞれの人材を活かした提案が可能です。

 

関氏:データソリューション事業におけるコンテンツ構築支援では、グループでマンガアプリのGANMA!を開発してきたノウハウを生かして、新しくサービスを作りたいお客様の開発や運用の支援をおこなっていくというものです。私たちの強みであるデータ分析により、ユーザーの流入を増やしていくということもできます。

 

インハウス化広告主と広告会社のDX化をデータソリューションで支援

-デジタル広告業界における想定ターゲットについてお聞かせください。

武藤氏:デジタルマーケティングに従事している企業様がターゲットとなってきます。労働集約的な業務をシステム化したい、あるいは自動化したいという課題を抱えている企業様に、データを活用した課題解決型のソリューションはもちろん、未来創造型のDXで、顧客企業のイノベーションに伴走させて頂きたいと思っています。

より具体的申し上げると、広告運用のインハウス化を進めている企業様や広告代理店様を中心にお役に立てればと思っています。

セプテーニを通じたマーケティング支援では、お客様がインハウス化をするということになると、それでお付き合いが終わってしまいます。インハウス化を進めるお客様については、セプテーニ側からバトンを渡してもらい、引き続きFLINTERS側でシステムやクリエイティブ制作などの面で、支援させていただくというような取り組みを始めています。

 

ターゲット層へのアプローチは、直接行う方法と、代理店経由との二通りあります。直接の場合には、ウェビナーを開催するなどの方法をとっています。他のSaaS事業者と連携して一緒に行うという取り組みもあります。

代理店販売については、セプテーニや電通デジタルをはじめSaaS企業様などから声がけをしてもらうことがあります。

 

荒井氏:アプリ・ゲームデベロッパーのお客様ともすでにお取引をさせていただいており、データを活用したマーケティング支援を行うという取り組みを進めています。

 

 

-デジタルマーケティングの全工程において、どの部分でDX化がまだこれからなのでしょうか?

荒井氏:PDCAでいうと、Dのところが今まさにDX化が進みつつあります。ですがその後ろのCとAの領域はまだ属人的です。ここについてデータを集めて、よりよい次の行動につなげるための意思決定を支援し成果を改善するというところが、私たちが一番お役に立てるところなのではないかと感じています。

 

当社では、大量のデータをもとにしたラーニングから次の成果を予測をし、成功したケースを再現化することに取り組み続けてまいりました。インハウス化されたお客様に対して、例えば当社で蓄積された知見やノウハウをSaaSを通してご提供することでご支援をすることが出来ると考えております。

 

関氏:インハウス化したお客様の場合、自社のデータしかお持ちでありません。そうすると、自分たちは業界平均と比べてどうであるのかということも分かりません。一方広告代理店は、様々な業種のクライアントの広告運用を行っているので、そのデータを俯瞰的に捉えて運用をすることができ、長年培ったノウハウが貯まっておりますので、その点が大きな違いとなって来ます。インハウス化したお客様に対しては、これを補うようなサポートをさせていただくこともできるでしょう。

 

目標は、技術者のエコシステム確立

-中期的な事業目標をお聞かせください

武藤氏:継続的なDX支援に向けて、技術者を採用・育成し開発支援するという「エコシステム」を確立したいと考えています。これまで培ってきた「データ」を軸としたソリューションサービスに加え、「人」「教育」を軸としたサービス、これら3つを循環させることで、私たち独自の強みをさらに発揮していきます。

 

FLINTERSとの取り組みによりDXを促進することで、顧客企業の事業成長と共に社会の好循環を生む一翼を担うことで、ミッションである「未来につながる火を灯そう」を実現していければと思っています。

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コロナ禍の、D2Cマーケティング手法の変化と成功の本質とは[インタビュー]

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コロナ禍で、近年D2Cとも呼ばれている単品通販会社のビジネスや、マーケティング投資はどのような状況にあるのか。

この領域において日本を代表する専門家、売れるネット広告社 代表取締役社長  CEO加藤 公一レオ氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

サブスクモデルこそが成功の秘訣

-コロナにより単品通販企業のマーケティング活動はどのように変化したでしょうか?

当社のお客様は、今巣ごもり消費により需要が伸びている通販企業や、メーカーの通販部門が多く、売上も堅調に推移しており、マーケティング投資も強化しています。

 

当社のクラウドサービスを利用しているクライアントに昨年の5月ごろにアンケート調査を実施したところ、全体の約8割がビジネスにコロナによるマイナス影響がないという回答でした。また、1割は売上が上がったという回答で、売上が下がったという回答は全体の1割にとどまりました。

 

また、コロナ禍にあって、ナショナルクライアントの出稿が控えられたことで、広告単価が割安になり、ここ数カ月間広告効果が高まっています。これにより通販企業は、1-2割程度割安に新規ユーザーを獲得することができるようになっています。

 

最近私が感じているのは、皆さんコロナ禍でネットが強いという「ネット信仰」のような状況になっていますが、その何倍もすごいなと思ったのは、サブスクモデル(サブスクリプションモデル)の強さです。

単品通販企業は、ほぼ全てがサブスクモデルを採用しています。フロー型のビジネスのような毎日新規顧客を獲得するビジネスの場合、コロナの影響を受けやすいですが、ストック型ビジネスであるサブスクモデルの場合はそれほど影響を受けません。

 

コロナ禍で、ネットビジネス以上のすごさはサブスクモデルにこそあったことが、明らかになったことを感じています。

 

 

-貴社のビジネスの状況はいかがでしょうか。

当社もサブスクモデルではありますが、それはさておきコロナ禍だった昨年5月から7月にかけて毎月過去最高売上を更新し続けました。

広告の獲得効率が良く、投資に対して強気のクライアントからの投資により広告出稿額が伸びて当社の売上が上がっていっている状況です。

 

 

プロモーション手法が変わり、ツーステップ型マーケティングに

-広告の出し方に変化はありますか?

コロナによってということではないですが、国の規制により以前は横行していた悪質な記事型広告が少なくなりました。違法行為で摘発された企業が出て以降は、そのような強引な売り方が控えられるようになりました。その意味ではより本質的な商売になってきています。

またリターゲティングが今後使えなくなる可能性があるので、これに頼らない手法を探る必要があります。

 

これまでのマーケティングは、「ワンステップ型マーケティング」のものが主流でした。ユーザーを薬機法違反すれすれの記事型広告からLPに誘導してそこでワンステップで購入してもらおうとするというモデルです。ここで買わなかったユーザーに対してはリターゲティングで追いかけていく。これらすべてが出来なくなる可能性があります。

 

ワンステップ型マーケティングを恋愛で例えるならば、合コンで出会った初対面の異性に対していきなり「私と結婚してください」というようなものです。いきなり結婚してくれというからには、自分を盛る必要があるわけです。「自分はハーバード大卒で、フェラーリに乗っていて・・」とウソを並べて結婚を迫る。相手が認めない場合には、ストーカーのように追っていく。というようなものだったのです。

 

最近我々のクライアントの間で圧倒的に導入が進んでいるのが、『ツーステップ型マーケティング』です。最初は、無料や500円などの低価格サンプルで見込客を集めて、そこからサブスクに誘導するというモデルです。

 

ツーステップ型マーケティングを恋愛で例えるならば、「まずはデートをしましょう。」というところから始めて、お付き合いをして結婚をする。という形へと変わっていったわけです。コロナというよりは、むしろ国の規制が大きかったです。

 

記事型広告やリターゲティング広告のほかにも、これまでワンステップ型マーケティングにおいて強かった、アフィリエイトもまたGoogle検索機能のアップデートの影響を受けて、今では以前の1/3程度の獲得件数になっています。

 

運用型広告は、良くも悪くも平等な世界です。

これが一定規模以上の広告主に対しては悪く向くこともあり得ます。運用型広告では、大手広告主からするとパワーゲームが出来なくなりました。アフィリエイトや運用型のリターゲティング広告の活用が厳しくなっていく中で、個人的には今後大手広告主の目は純広告に向かうのではないかと見ております。

 

もちろん運用型広告の市場は今後も大きくなりますが、一広告主の目からすると、その限りではないということです。そして、純広告と相性がいいのが、ツーステップ型マーケティングである、個人的にはこのように感じています。

 

 

コロナ禍で、絶え間なく続く引き合い元とは?!

-貴社はこの環境下でどのような取り組みをしていますか?

引き合いが来るクライアントの業態が大きく変わりました。

今まではほとんどが健康食品と化粧品でしたが、最近は一般食品大手のレストランチェーンやホテル経営会社、食品メーカーなどからの引き合いがとても増えました。コロナ禍で自社で取り扱っている商品の安定流通・販売が出来なくなり、ネットで通販を始めたいという問い合わせがとても増えました。そして当社にお問い合わせをいただく方々が共通して認識しているのは、単にネット通販がよいということではなく定期モデル、すなわちサブスクモデルがいいのであるということです。このような引き合いは、コロナが拡大しなければ恐らくは来なかったでしょう。

 

このような状況下で、コンサルティングサービスもさることながら、制作の依頼も大変増えており現在対応がなかなか追いつかない状況です。少人数で回しているのが現状であり、現在採用活動も行っています。

 

-貴社に引き合いが来るクライアントは、どのような経緯で来るのでしょうか?

当社に引き合いが来るクライアントは明確です。バツ二クライアントが多いのです。最初にネット事業を始めると、まずは総合代理店に依頼します。そこで結果がいまいちであったとします。その後にネット専業代理店に依頼し、そこでも同様であった。そうすると最終的に当社にたどり着くというパターンです。今までのCPA、CPO、ROASを改善することを求めて、当社に問合わせをいただくという形です。

 

 

D2Cと単品通販

-先日D2C市場規模の公表もされていましたが、この調査のことについてもお聞かせください。D2Cと単品通販とは一緒のものと考えてもよいものなのでしょうか?

 

この調査は、九州産業大学の先生に依頼して実施したものです。調査を実施した期間はまだコロナ感染拡大が本格化する前でしたし、当時の予測よりもさらに市場は上振れることになるかもしれません。

 

私はD2C Summitの理事をしているのですが、色々な方とお話をしている限りでは、本質は同じであると認識しています。

ネット業界では色々なバズワードが出回りますが、単純に言うと、単品通販のことをD2Cと呼び、定期販売モデルのことをサブスクと呼んでいるだけのです。

もちろん、細かいところではD2Cというと、主にネットを使ってビジネスをし、かつソーシャルをこのように活用し云々というロジックはありますが、これをどう解釈するかです。いろいろな人がD2Cをそれぞれに解釈をしていますが、その本質は“Direct to Consumer”であることです。

 

今後は海外、そして他業種へ

-今後の注力領域についてお聞かせください

当社は単品通販に関するプロモーション周りはすでに日本トップクラスのノウハウを持っており、ほぼ独占しつつあります。単品通販TOP100社のうちの7割くらいが当社と何らかの取引があります。

次に考えているのは海外展開です。早ければ2021年には動き出す予定です。台湾やベトナムなどのアジア地域に当社のクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」を展開していきたいと考えています。

また、これまで健康食品や化粧品を提供するクライアント向けに提供してきたサービスを、アプリ業界、金融業界、士業、不動産業など他の業界にも広げていくことも視野に入れています。

The post コロナ禍の、D2Cマーケティング手法の変化と成功の本質とは[インタビュー] appeared first on Exchangewire Japan.

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