グローバル市場においてFacebookやGoogleがデジタル広告市場を席巻する中、欧米をはじめ各国や地域で第三の勢力として、パブリッシャー・アライアンスが形成される動きが見られる。この流れを受け日本でも、デジタルインテリジェンス代表の横山隆治氏が代表幹事を務め、PubMatic(パブマティック)が協賛支援をする「パブリッシャー・マネタイゼーション研究会」が、パブリッシャー・アライアンスJapan Publisher Alliance on Digital (J-PAD)を発足した。
その活動内容と今後の方向性について、研究会幹事メンバー:横山隆治氏・芹澤 樹氏(メディアジーン)・前川 洋輔氏(パブマティック)に話を伺った。
(聞き手: ExchangeWire Japan 野下 智之)
― パブ研の概要とこれまでの活動についてお聞かせください

パブリッシャー・マネタイゼーション研究会」、通称「パブ研」は、「媒体社の自社資産の有効活用および市場における地位の向上を図るという目的」のもと、2015年4月9日に発足しました。初年度は、「データ活用」、「プログラマティック及び人材・組織論」の二分科会を設立し、各テーマについて理解と議論を深めるための勉強会や全体会などを実施しました。活動2年目を迎えた今年は、パブリッシャー・アライアンスの発足を目指し、海外パブリッシャーによるアライアンス事例の研究や販売手法の導入、オペレーションの円滑化などの議論を中心に活動を行ってきました。
― 「Japan Publisher Alliance on Digital(J-PAD)」の内容とその背景についてお聞かせください。
eMarketerの調査結果によるとGoogleやFacebookなどの巨大プラットフォーマーは2016年の世界デジタル広告費の85%を独占すると予想されています。このような市場における不均衡を是正し、販売手法の導入やオペレーションを媒体社が共同で取り組むことにより、新たな第三局を確立するためJ-PADが発足されました。J-PADは、PubMaticのプラットフォーム「SEVEN」を活用してPMPを提供し、初期メンバーとしてAFPBB News、JBpress、東洋経済新報社、Perform Group、Forbes JAPAN、メディアジーン(五十音順)の6社がJ-PADへの加盟予定を表明したほか、2016年12月からの掲載実施に向けて複数の媒体社と加盟に関して協議を実施しています
― どのようなビジネススキームになるのでしょうか?参画するパブリッシャーにはどのようなメリットがあるのでしょうか ?

J-PADに参加するパブリッシャーは、広告主が抱えるデジタル広告の課題である「プレミアムな在庫」、「スケールあるリーチ力」、「活用の容易性」、「透明性のある広告の運用」などに応えることができるようになります。例えばA社が車会社のB広告主のキャンペーンを展開するにあたり、A社の持つ在庫のみではなく、他者在庫にもアクセスすることでより広範囲な効果的なキャンペーンの実施につなげることが可能になります。
ビジネススキームとしては、今回J-PADでは特定ルールに沿って各媒体の提供枠をまとめていきます。ファイナンシャル系、ビジネス系、スポーツ系やテクノロジー系等のカテゴリーパッケージやビルボードといった広告フォーマットに特化したパッケージ、または女性メディアなどのデモグラフィックなどに特化したパーケージを順次開発していきます。また、プライベートオークションを念頭に置いたソリューションとして、ROA(Run Of Alliance)でも提供することを予定しています。オープンRTBではありませんが、承認されたバイヤーと広告主は中長期的にJ-PAD提供枠にアクセスできる権限を持つことにもつながりますので、各社にとってメリットがあると考えています。
― 広告マネタイズ運用に活用するPubMaticのプラットフォーム「SEVEN」について、どのような機能・特徴を備えているのかについてお聞かせください 。

PubMaticのプラットフォーム「SEVEN」は、リアルタイム分析やビューアビリティ計測機能を利用したPMP広告取引を可能にするプログラマティック環境を整える機能を備えています。また、キャンペーン時における掲載箇所の不透明を解消するため掲載後に個別の配信結果をレポートし、デジタル広告の透明性の向上を実現する機能も提供できます。
― 広告のバイヤーサイドには、誰が主体となりどのように働きかけを行っていくのでしょうか?
パブリッシャーが主体となり販促活動を実施していきます。
― パブリッシャー同士の1stパーティーデータ共有は行うのでしょうか?あるいは今後行う予定でしょうか?
パブリッシャー同士の1stパーティーデータ共有は、今後実施するプランとして検討しています。
― 今後のビジネスプランについてお聞かせください
直近の目標としては、2016年の12月からの掲載開始時に、加盟媒体社を現在の倍程度まで増加することをあげさせていただきます。
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